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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第四部 卒業試験、下級戦闘魔術師へ
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第八十一話 卒業


 今日は魔法学校の卒業式。

「卒業できんのは嬉しいけど、この服が気に入らねぇ」

 カキは自分の服装を見ながら、そう言った。

 生徒たちはもちろん、教師や保護者たちも正装をする。その中でもカキたち王族は、さらにその上に王族のコートを羽織らねばならず、カキにはそれが邪魔で仕方ない。

「おはよう、カキ」

「ラウラ・・・あぁ、そうか、お前もか」

「何が?」

「そのコート。邪魔だよなぁ、これ」

「そう?べつに何も気にならないけど」

 カキとラウラでは感覚が違うのだ。共感できるとは限らない。

「カキ、妖精は?」

 卒業式では、戦闘コースの生徒たちは自分の妖精も連れていかなければならない。

「あー・・・いるにはいるけど・・・」

 カキは、トラルのいるほうを指差した。

「・・・何であんなに離れたところにいるの?」

「オレのことが気に入らねぇんだよ、あいつは」

「へぇ・・・ところで、名前は?」

「トラル。光の加護を持つ妖精だって」

 今日は実質、みんなの妖精たちを初めて見る。

 教室の中は、いつものクラスメイトの顔と見知らぬ妖精たちで溢れていた。

「ラウラちゃん、君の妖精は?」

 カキとラウラが話していると、ケヴィンがやって来た。

「この子、よ。フロウ。氷の加護を持つ妖精」

「わぁ、ラウラちゃんに似てきれいな妖精だね」

「お前の妖精は?」

 カキが訊くと、ケヴィンは無駄にカッコつけて妖精を見せてきた。

「この子さ。名前はフィフィ。火の加護を持つ妖精だよ」

「・・・何か、呆れた顔してね?」

『ケヴィンの女好きに呆れているのだよ』

「心外だなぁ、フィフィ。僕は女の子たちを愛でているだけさ」

『何が違うんだ・・・』

 ケヴィンとフィフィは、性格が正反対なようだ。すでにフィフィが疲れきっているようにも見える。

「みんないるか?移動するから廊下に並べ」

 エベラルドがざわついた教室に入ってきた。

 ついに、卒業式が始まる。




 卒業式は厳かに終わった。

 カキたちは教室に戻り、エベラルドの話を聞く。

「今日でお前たちも魔法学校を卒業だ。だが、あまり卒業の余韻にも浸ってはいられない。明日からお前たちは下級戦闘魔術師として、それぞれ上級戦闘魔術師のもと、仕事をこなしていくことになる。明日、チーム分けがあるからここに集まるように」

 エベラルドはいつもどおり、みんなに話をする。

「まぁ、卒業してもお前たちがオレの生徒だったことには変わりはない。これからの活躍を期待しているぞ」

 エベラルドから生徒たちに送られた言葉は、カキたちの心に染み込んだ。

 エベラルドの話が終わると、みんな友達と写真を撮ったり、明日からのことを話したり、笑顔で過ごしていた。

 涙を流す者はいない。今生の別れではないから。

 涙は、いつかの別れのときまでとっておく。できれば、その日はずっとずっとさきであることを願って。


「ただいまぁ」

「おかえり、カキ。それから、卒業おめでとう」

 カキが家に帰ると、カタリナがいつものように温かく迎えてくれた。

「いよいよ明日から下級戦闘魔術師ね。この日が来たこと、嬉しく思うわ。これからもがんばってね」

「うん。ありがとう、母さん」

 カタリナが自分のことのように喜んでくれるので、カキも笑顔で答えた。

 明日、これから共にするメンバーが発表される。カキたちを導いてくれる上級戦闘魔術師も。

 カキはそれを心から楽しみにしながら、この日は眠りについた。


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