第七十七話 戦闘コースの卒業試験
カキたちは無事に卒業するための単位を取ることができ、あとは卒業試験を待つのみだった。
みんな、卒業が近づき落ち着かない様子だ。
「いよいよ、卒業試験も目前だな!」
カキは嬉々とした様子でそう言った。
「そうだね。これに合格すれば、私たちも晴れて下級戦闘魔術師」
「そ、そう考えると緊張しちゃう・・・」
カキの言葉に、シーラとマリアンはそれぞれ返答する。
卒業が近づくことへの喜びと、その前にある卒業試験への不安。卒業試験に合格できなければ落第となるのだから、不安になるのも仕方はない。
「ってかさ、卒業試験って何すんだ?」
カキはずっと思っていた疑問を口にした。
「卒業試験は毎年違うんだよ。何するかは当日言われる」
答えたのはビトだ。相変わらず、情報を持っている。
「じゃ、じゃあ、備えようがない、よね・・・?」
ナタリオが不安そうな面持ちで言う。
「ま、今までの授業の復習くらいしかしようがねぇな」
ビトの言葉に、ナタリオはさらに不安そうになる。
「今まで頑張ってきたんだし、大丈夫だろ。単位だって間違いなく取れてんだから」
そんなナタリオに、ジャスパーはそう声をかけた。
ジャスパーの言うとおりだ。卒業試験だからといって、必要以上に構える必要はない。今までだってやってこれたのだから、それを卒業試験でも出せばいいだけだ。
いよいよ、卒業試験の日となった。戦闘コースの生徒たちは、グラウンドへと集められる。
「今日は卒業試験だ。これに合格すれば、みんな卒業できる。下級戦闘魔術師になることができるんだ」
担任であるエベラルドは、生徒たちの前に立って話をする。
「では、さっそくだが卒業試験の内容を説明する。今年の卒業試験は、自分の妖精を見つけてくることだ」
エベラルドの言葉に、若干ざわついた。
「静かに!みんな知っているように、戦闘魔術師には妖精がついている。そして、その妖精はお前たちそれぞれに相応しい属性を持っている。その自分だけの妖精を見つけてくるんだ。もちろん、同じ属性でもたくさんの妖精がいる。その中でたった一匹を見つけるんだ」
エベラルドの説明に、質問を投げかけた生徒がいた。
「先生、その自分だけの妖精ってどうやって見つけるんですか?自分の妖精はこれだってわかるんですか?」
「はっきりとわかるかどうかは個人差がある。だが、何か特別なものを感じるはずだ。それを感じた妖精が自分だけの妖精だ」
「妖精を探すってことは、妖精と会話をしていいってことですか?」
「あぁ、もちろん。妖精と会話をしながら見つけ出してくれ」
そうして、質問もなくなった頃、ようやく試験が始まることになった。
「では、これより卒業試験を開始する。このさきの森が妖精たちの住み処となっている。普段は立ち入ることのできない場所だ。妖精たちはそれぞれ、属性ごとに固まって生息しているからな。よく探すように。では、制限時間は一時間。その間に見つけてここに戻ってくるように」
カキたちはエベラルドの言葉を聞き終わると、おもむろに森の中へと入っていった。自分だけの妖精を見つけることへの期待や不安を胸に、ずんずんと歩みを進める。
妖精を見つけて、無事に卒業する。
誰もがそう考え、戦闘魔術師になるために一生懸命取り組む。
自分の属性、自分の妖精を知るために、卒業するために、カキたちは困難な試験に挑む。




