第七十六話 今までの成果を〈後編〉
カキ、シーラ、ニコラスの三人は、それぞれいろんな想いを胸に立っていた。
カキはノーマと戦える喜びを。
シーラはこの二人とうまくやれるかという不安を。
ニコラスはカキとまたチームとして戦うことになった苛立ちを。
それぞれの想いは平行線だが、たったひとつだけ同じ想いがある。
それは、このテストに合格すること。
必修科目であるこの授業の単位を落とすと、卒業することができなくなる。足止めされるわけにはいかない。
カキ、シーラ、ニコラスの三人はそこだけは利害が一致するので、問題はそれでいかにうまく戦っていくかということだけだ。
「じゃ、準備はいいわね?それでは、スタート!」
ノーマの合図により、カキが駆け出すより前に、ニコラスが口を開いた。
「前にも言ったが、アンタが本気でやってくれなきゃやる意味ねぇんだよ」
その言葉に、ノーマはもちろん、カキとシーラもピクリと反応する。
「本気でやってくれよ?」
ノーマはため息を漏らした。
「・・・これはあなたたちにとって大事な試験でしょう?私が本気でやったら、一瞬で終わってしまう。それじゃ、困るのはあなたたちのほうなのよ?」
「そんなことはわかってる。だけど、これが戦場なら、大人も子供も関係なく本気でやる。そこに手加減など存在しない。なら、こんなことに何の意味がある?」
ノーマの言っていることもわかるし、ニコラスの言いたいこともわかる。
カキは二人の会話に、じっと耳を傾けた。
「何の意味もないことなんて、ないんじゃないかしら。あなたたちが本気でやっていれば、それは成長へと繋がることよ。問題なのは、私が本気を出すか出さないかではなく、あなたたち自信が本気を出すか否かではないの?」
「・・・なら、せめて、もう少しレベルを上げろ。それくらいなら、問題はないだろう?」
ニコラスの言葉に、ノーマは再びため息を漏らした。
「・・・わかったわ」
話が終わると同時に、ニコラスはノーマのもとへと駆け出しながら、魔術で仕掛けた。
「“スコール・クラッシュ”」
ノーマはそれを軽々とかわした。
ニコラスはノーマに接近しながら、間髪を容れず“スコール・クラッシュ”を放ち続けた。
だけど、そのすべてをノーマにかわし続けられた。
「おらぁ!」
そんな中、カキもノーマに体術で立ち向かっていく。
「“フラワー・チーロ”」
シーラも、花で物を切る魔術を放った。鋭くなった花がノーマの回りを舞い散る。
「ちゃんと息を合わせないと、勝てるものも勝てないわよ」
ノーマはそう言うと、すべての魔術を相殺し、三人を吹き飛ばした。
「うおっ」
「・・・っ!」
「きゃ・・・っ」
三人とも吹き飛ばされつつも、ある程度踏ん張っていた。
「ずっと言っているでしょう?大切なのは協調性だと」
ノーマはため息混じりにそう言う。
「────・・・ニコラス、勝つんだろ?なら、オレとシーラと共に勝つことを考えろ。お前の力があれば、勝てるだろ?」
カキがそう言うので、ニコラスは目を見開いた。
カキに指図されることがムカつく。ニコラスの性格を考えて言う言葉にムカつく。
「私たちもいるわ、ニコラス。勝つためなら、私たちを使ってくれてかまわない」
シーラも、真剣な顔でそう言った。
「っ・・・!オレは、負けるつもりはねぇ。お前らが勝利へと導くなら、使ってやる」
ニコラスの言葉に、カキは笑みを浮かべ、シーラも安堵の表情を浮かべた。
「使われてやろうじゃん・・・!」
カキたちは、今度こそ協力して、ノーマのテストを受けた。
勝利すると信じて、いや、勝利すると誓って。




