↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第四部 卒業試験、下級戦闘魔術師へ
77/657

第七十六話 今までの成果を〈後編〉


 カキ、シーラ、ニコラスの三人は、それぞれいろんな想いを胸に立っていた。

 カキはノーマと戦える喜びを。

 シーラはこの二人とうまくやれるかという不安を。

 ニコラスはカキとまたチームとして戦うことになった苛立ちを。

 それぞれの想いは平行線だが、たったひとつだけ同じ想いがある。

 それは、このテストに合格すること。

 必修科目であるこの授業の単位を落とすと、卒業することができなくなる。足止めされるわけにはいかない。

 カキ、シーラ、ニコラスの三人はそこだけは利害が一致するので、問題はそれでいかにうまく戦っていくかということだけだ。


「じゃ、準備はいいわね?それでは、スタート!」

 ノーマの合図により、カキが駆け出すより前に、ニコラスが口を開いた。

「前にも言ったが、アンタが本気でやってくれなきゃやる意味ねぇんだよ」

 その言葉に、ノーマはもちろん、カキとシーラもピクリと反応する。

「本気でやってくれよ?」

 ノーマはため息を漏らした。

「・・・これはあなたたちにとって大事な試験でしょう?私が本気でやったら、一瞬で終わってしまう。それじゃ、困るのはあなたたちのほうなのよ?」

「そんなことはわかってる。だけど、これが戦場なら、大人も子供も関係なく本気でやる。そこに手加減など存在しない。なら、こんなことに何の意味がある?」

 ノーマの言っていることもわかるし、ニコラスの言いたいこともわかる。

 カキは二人の会話に、じっと耳を傾けた。

「何の意味もないことなんて、ないんじゃないかしら。あなたたちが本気でやっていれば、それは成長へと繋がることよ。問題なのは、私が本気を出すか出さないかではなく、あなたたち自信が本気を出すか否かではないの?」

「・・・なら、せめて、もう少しレベルを上げろ。それくらいなら、問題はないだろう?」

 ニコラスの言葉に、ノーマは再びため息を漏らした。

「・・・わかったわ」

 話が終わると同時に、ニコラスはノーマのもとへと駆け出しながら、魔術で仕掛けた。

「“スコール・クラッシュ”」

 ノーマはそれを軽々とかわした。

 ニコラスはノーマに接近しながら、間髪を容れず“スコール・クラッシュ”を放ち続けた。

 だけど、そのすべてをノーマにかわし続けられた。

「おらぁ!」

 そんな中、カキもノーマに体術で立ち向かっていく。

「“フラワー・チーロ”」

 シーラも、花で物を切る魔術を放った。鋭くなった花がノーマの回りを舞い散る。

「ちゃんと息を合わせないと、勝てるものも勝てないわよ」

 ノーマはそう言うと、すべての魔術を相殺し、三人を吹き飛ばした。

「うおっ」

「・・・っ!」

「きゃ・・・っ」

 三人とも吹き飛ばされつつも、ある程度踏ん張っていた。

「ずっと言っているでしょう?大切なのは協調性だと」

 ノーマはため息混じりにそう言う。

「────・・・ニコラス、勝つんだろ?なら、オレとシーラと共に勝つことを考えろ。お前の力があれば、勝てるだろ?」

 カキがそう言うので、ニコラスは目を見開いた。

 カキに指図されることがムカつく。ニコラスの性格を考えて言う言葉にムカつく。

「私たちもいるわ、ニコラス。勝つためなら、私たちを使ってくれてかまわない」

 シーラも、真剣な顔でそう言った。

「っ・・・!オレは、負けるつもりはねぇ。お前らが勝利へと導くなら、使ってやる」

 ニコラスの言葉に、カキは笑みを浮かべ、シーラも安堵の表情を浮かべた。

「使われてやろうじゃん・・・!」

 カキたちは、今度こそ協力して、ノーマのテストを受けた。

 勝利すると信じて、いや、勝利すると誓って。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。