第七十四話 今までの成果を〈前編〉
カキはこの日を待ちわびていた。ノーマと戦えるこの日を。
ノーマとの戦いで、今まで頑張ってきたことを出しきりたい。特訓の成果を出してやりたい。
勝ち負けはこの際どうでもいい。自分が最大限の力を出して戦えたら、今はそれで十分だ。
最初にノーマのテストを受けることになったのは、ケヴィン、ラウラ、ジャスパーの三人だった。
「準備はいい?それじゃ、スタート!」
ノーマの合図によって、試合は開始した。
「どうしようか、ラウラちゃん?」
「オレもいるんだけど?」
「わかってるよ、ジャスパーくん。君はどうせ、接近戦だろう?君は体術に優れているからね」
「ま、そうだけど。行ってもいい?」
「いいわ。私も、体術と魔術で接近戦にするから。ケヴィンはうしろから魔術を使って攻撃」
「わかったよ」
話し終わると、ジャスパーとラウラはノーマに向かって駆け出し、その間にケヴィンはノーマに魔術で攻撃を仕掛けていた。
「いいわね、なかなかバランスがとれている」
ノーマは感心するだけで、簡単に攻撃を避けていく。
「“アイス・ダッギュ”」
ラウラは、氷の剣を手にした。
「おっと・・・さすが、ラウラちゃん」
“アイス・ダッギュ”は、剣を作り出す魔術で一番鋭利なものだ。簡単に切り裂くことができる。
「うわぁ、さすがだな、ラウラちゃん。“アイス・ダッギュ”が使えるなんて」
味方であるケヴィンも、驚き、感心している。
剣を作り出す魔術は少し難しいので、まだ生徒であるラウラがそれをできるのは、なかなかすごいことだ。
もっとも、カキはそういった魔術をラウラが使えることはすでに見たので、驚くことはなかった。
「こりゃ、オレももっと頑張んなきゃな・・・!」
ジャスパーは、ラウラの魔術を見て俄然やる気が出たようだった。
ジャスパーの動き回る速度が速くなり、それに伴って体術に重みが増した。
「まだまだやれるって感じね。今までやってきたことを出しきってちょうだい・・・!」
ノーマは、生徒たちの成長ぶりを嬉しく思い、とても楽しそうに戦っている。
「頑張りますから、ちょこまかと逃げるのやめてくれません?まぁ、その様も美しくていいんですけど」
「あら、ありがとう。でも、簡単に捕まえてもおもしろくないでしょう?私だって、簡単に捕まりたくないし」
「はぁ・・・まぁ、そうですけど。でも、三人の攻撃をほとんど避けるって、本当にすごいですね、ノーマ先生は」
ケヴィンはノーマに声をかけながらも、絶えず魔術でノーマに攻撃している。
ノーマは三人の攻撃を避けつつ、三人が次にどう動くかをじっくり観察している。
「ラウラちゃーん、ジャスパーくーん、このままじゃ終わらないんじゃない?時間も残されてないし、ちょっと攻撃パターンを変えたほうがいいんじゃないかな?」
このままでは埒が明かないと考えたケヴィンは、ラウラとジャスパーに提案した。
「作戦たてる?いいわよ、待ってるから」
「必要ない、わ」
ノーマの言葉に、ラウラはきっぱりと答えた。
「“バブル・アタック”」
「それは通用しないって前に────・・・」
「“フェイル・カッター”」
ノーマが言い終わらないうちに、ケヴィンがラウラの“バブル・アタック”をすべて破裂させ、霧を出した。
その瞬間、目にもとまらぬ速さでジャスパーがノーマの周囲を駆け巡る。
「“ドナ・ブリック”!」
そして、最後にはノーマの頭上から降ってきた。
「いたた・・・最初から、考えていたのね」
思いっきりではないが、ノーマはジャスパーの攻撃を受けてしまった。
「“バブル・アタック”は目眩ましと同時に、“ドナ・ブリック”の力を少し増大させたのね」
ノーマは三人の戦いぶりに感心していた。
最初から、この一撃に懸けていた。ノーマの意表を突いたことこそ、ノーマに攻撃を食らわせた最大の要因だ。




