第七十二話 接近戦闘学、最後の授業
今日は接近戦闘学の最後の授業、すなわち、テストが行われる日だ。
接近戦闘学のテストは、班同士の戦いで成績をつけられる。勝ち負けではなく、技術や協調性などを見られるのだ。
「今日はテストだ。この科目は選択科目だから落としても卒業はできるが、ちゃんと今までの成果を出すように。間違いなく、この授業でやってきたことは役に立つ。みんな、最後までしっかり取り組むように」
エベラルドの言葉に、みんなは大きな声で返事をした。
誰もこの授業の単位を落とすつもりはない。戦闘魔術師に誰もがなりたいのだから、一番必要なこの授業を落とすつもりはない。
このテストは、みんなの本気を試すものなのかもしれない。
カキ、ビト、ナタリオ、それにニコラスは、自分たちのテストに備えて、体を動かしたり確認をしたりしていた。
この四人の班に一番必要なのは協調性だ。それ以外は、何とかならないこともない。
「頑張ろうぜ!」
「う、うん。頑張ろう・・・!」
「やるからには勝つからな。足引っ張んなよ、カキ」
「勝つならちゃんと協力してくれよ、ニコラス?」
とてもじゃないが仲が良いとは言えない四人だが、そんなことは関係ない。この授業では、ずっと同じ班だったのだ。最後までやりきるしかない。
「カキ、ビト、ナタリオ、ニコラス。テストを始めるぞ」
エベラルドに呼ばれて、カキたちはテストに挑んだ。
カキたちの相手は、力関係にバランスがとれた班だった。仲も良く、協調性もあると言える。
たぶん、実力だけならカキたちの班が上回るだろうが、協調性の面から見れば相手の方が上だ。
だから、カキたちの協力の仕方が勝利へのカギとなるだろう。協力がなければ、負ける可能性の方が大きい。
「それでは、始め!」
エベラルドの合図によって、相手の班の二人が距離を詰めてきた。
カキとニコラスも、その二人に向かって駆け出す。
「“ソーン・キャップ”」
カキとニコラスのうしろからは、ビトが魔術を繰り出した。狙うは、距離を詰めてきた相手二人だ。
「“ドナ・スピア”」
相手の班の残り二人のうちの一人は、ビトの発動した魔術を消すように、そしてカキとニコラスを攻撃するように魔術を発動した。
カキとニコラスはすぐさまうしろに下がり、相手二人もうしろに下がる。
「“スコール・クラッシュ”」
「“フュー・リーン”」
すかさず、ビトとナタリオが魔術を発動した。
“スコール・クラッシュ”の風によって、“フュー・リーン”の炎が激しく燃える。カキたちと相手の班を分かつように。
相手は、どうするべきか迷っているようで、何も仕掛けてこない。
「“アイス・リーン”」
その隙を狙って、ニコラスは炎に覆い被さるような氷の道を作った。氷属性魔術だ。
カキはその上を滑るように走り、相手の班の頭上から思いっきり落ちていった。
「“ドナ・ブリック”」
「“アクア・フロー”」
カキの雷をさらに強力にするため、ニコラスは相手の足下に水を出した。
「うわぁぁあ・・・!」
相手は全員、雷でビリビリとなり倒れた。
「そこまで!」
エベラルドの言葉により、試合は終結した。
カキたちの完全勝利だ。
「協力、できるじゃないか」
エベラルドはぼそりと呟いていた。




