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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第四部 卒業試験、下級戦闘魔術師へ
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第七十一話 卒業に向けて


 気づけば、三学期に突入していた。

 あの、魔法学校襲撃事件のことなど、まるでなかったかのように、日常が過ぎていく。

 変わったことといえば、卒業までの時間が短くなり、どの授業も最後の授業の試験に向けて、今までの総復習が行われていることくらいだ。

 それでも、カキたちはあの襲撃事件の記憶が薄れることはなく、色濃く脳裏に刻まれていた。

 いろいろな感想はあるけれど、カキは前向きな感想を抱いていた。実際に戦うことができたのだから、カキとしては大満足だ。

 ニコラスとしては、全力で戦う前にやめさせられてしまったので、不完全燃焼でしばらくは苛立っていたが、今はそれを力に変えて、より一層努力をしている。

 もちろん、カキだって満足したままで終わっているわけではない。特訓の時間や量も増やして頑張っている。


「そろそろ接近戦闘学もテストの時期がやって来るなぁ。何とか合格できればいいけど」

 ビトはかったるそうにそう言った。

「実技だろ?頑張ろうぜ」

「そりゃ、頑張るけどなぁ。ちったぁマシになったとはいえ、ニコラスが協調性がないのは間違いないし」

「あいつだって、テストとなれば多少は協力する気になるだろ」

「だといいけど」

 ビトの不安はニコラスのみだ。ニコラスが一番、ビトにとって厄介だ。

 カキの不出来には多少フォローができるが、協調性がない人に協力させようとするには無理がある。実際、ノーマの授業でビトはそれを経験済みだ。

「つーか、オレは武器魔術学でもニコラスとペアだからな。ま、あれはペア同士の戦いで成績つけるらしいけど」

「・・・お前、ニコラス相手じゃ成績つかないんじゃね?」

「は!?さすがにつくわ!・・・ちょっとくらい」

「何だよ、自信ねぇのかよ」

 カキがぼそりと言うので、ビトはちょっと笑ってしまった。

「指揮戦略学はどんなテストなんだ?」

「あぁ、あれはな、提示された状況で犠牲を出さずに勝つための戦略を考えて、それが成功すれば合格ってテストだ」

「へぇー、何か難しそうだな」

「どんな状況を提示されるかわかんねぇから、めんどくせぇよ」

 ビトは頭を掻いた。

 ビトはめんどくさいことがあると、よく頭を掻くなとカキは何となく思っていた。

「テストの話してるの?」

 カキとビトが話していると、シーラとマリアンがやって来た。

「魔法薬学と医療魔術学はどんなテストなんだ?」

「魔法薬学はね、指定された薬をつくるの。で、医療魔術学はペーパーテストと動物とかを使って怪我を治療するの」

「自信はある?」

「頑張ったからね、その分の成果がでたらいいなって思ってるよ」

「わ、私も、不合格にならないように頑張るつもり」

 シーラとマリアンはそう言っていたが、二人なら間違いなく合格するだろうとカキは感じていた。

「ノーマ先生のテストは、また先生との戦闘だよね」

「すっげぇ、楽しみ!」

「ま、あれは勝ち負けで成績つけてるわけじゃねぇから、ちょっと気が楽だわ」

「で、でも、前よりはうまくやりたいよね」

 ノーマと戦えるのは、カキにとってとても楽しみで、ほかのみんなも貴重な経験として捉えている。

「この間の襲撃事件での経験が、ちょっとでも役に立つといいよな」

「そうだね。あんなこと、絶対生徒の間じゃ経験できないもんね」

 カキたちは、この間の襲撃事件で少なからず経験値を貯めている。

 それが、これからのテストに、そして戦闘魔術師になってからも活きてくることを願う。


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