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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第三部 戦闘魔術師への道
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第六十七話 自分たちの学校は


 カキは気づけば飛び出し、エベラルドの相手の女の顔を殴り飛ばしていた。

「────・・・カキ!?」

 エベラルド、そしてクラスメイトたちも驚いて声をあげる。

「・・・殴った?殴ったわね、私の顔を!ぼく、ただじゃおかないわよ?」

 女は、殴られた頬を擦り、口を切って流れ出た血も拭った。

「バカ!逃げろ!お前に勝てるわけないだろ!」

 エベラルドの怒号が飛ぶ。

「そうね、逃げたほうがいいわ。逃がすつもりはないけど」

 女はカキを煽る。

「逃げたりなんかしねぇ!ここは、オレたちの学校だ。だから、学校がピンチなのに逃げたりしねぇ!!」

 カキはエベラルドと女の両方に対して、そう答えた。

「へぇ・・・威勢がいいわね、ぼく。嫌いじゃないわ。ふふ、楽しめそう・・・!」

「お前の相手はオレだろう!?」

 カキに目が言っていることに焦ったエベラルドは、女にそう叫ぶ。

「うるさいわね。あなたはもういいわ。あの子のほうがおもしろそう」

 そう言って、女はエベラルドを吹き飛ばした。

「がっ・・・!」

「先生!」

 エベラルドは、微かに意識はあるものの、すぐに立ち上がれそうにもない。

「あぁ、そうだ、先生。生徒の心配もいいけれど、ほかの先生方の心配もしたほうがいいわよ?」

 女は楽しそうに話しだす。

「まぁ、今回は殺しが目的ではないからほどほどにだけど、私たちのボスが“トゥッド・ブルーメ”をかけてたから」

 その言葉に、エベラルドは一気に意識が戻った。

「“トゥッド・ブルーメ”だと・・・?あれは黒魔術、禁術だぞ!?」

「そうよ。まぁ、今回は激痛を与えるだけで、内臓を溶かすほどの威力は出してはいないようだけど」

 女は冷ややかに答える。

 女にとってはどうでもいいのだ。誰が傷つこうが、死んでいこうが。

「今ごろ、さぞ苦しんでるでしょうね。もう、意識は飛んでいってるかも・・・見られないのが残念だわ。ま、私たちの手にかかれば、国王のお気に入りだって容易く殺れるわ。今回はそこまでしてないけど、次に会えば・・・」

「・・・!」

 エベラルドは怒りでどうにかなりそうだった。

 だけど、冷静さを欠くわけにもいかない。守らなくてはならない生徒たちが、そばにいるのだから。

「さ、そんなことはもうどうでもいいわ。待たせたわね、ぼく。たっぷり遊んであげるわ」

 楽しげに女は言い、妖艶な笑みを浮かべる。

「待て!」

 そんな女に対し、エベラルドは声をあげ、カキはゾッとし、怯みながらも立ち向かおうとしていた。

「勝ち負けの問題じゃねぇ。戦いを遊びだとも思ってねぇ。オレは、自分の学校を守りたいだけだ!」

 カキはそう奮い立たせ、女に向かって駆け出した。

「バカ・・・!」

「先生、やべぇ!」

 エベラルドはカキのほうばかりに気をとられて、周りが見えていなかった。

 ジャスパーの声によって、いつの間にか他にも敵がやって来ていたことに気づく。

 カキを除いた生徒たちは、背中合わせに円になる。

「────・・・先生、本当にカキはバカだよな。オレも同感だよ」

 ふいに、ビトはエベラルドにそう言った。もちろん、敵に警戒しながら。

「けどな、バカだけどすげぇって思うんだよ。本当にバカだって思うのに、こういうところに憧れちまうんだよ・・・!」

 ビトは、口元に笑みを浮かべてそう言った。

「先生、もうオレたちには戦う道しか見えてねぇよ。ここで逃げ出すようなら、一生戦闘魔術師なんかなれねぇからよ」

 ビトの言葉は、ここにいるほとんどの想いと同じだった。ビトがそのすべてを代弁した。

 だからこそ、エベラルドの心を強く揺さぶった。

「────・・・緊急事態だ。ただし、無茶はするな!自分の身の安全を一番に考えろ!」

 そうして、カキたちのはじめての戦いの幕が上がった。


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