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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第三部 戦闘魔術師への道
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第六十四話 頭で考えるよりも


 カキは、気づけばナタリオを倒れさせていた。

「やるじゃない、カキくん」

 嬉しそうに声をかけてきたノーマに、一瞬、何が起きたのかわからずにきょとんとしていた。

「え・・・?あれ?オレが倒した、のか?」

 いまだに、いまいち状況を掴みきれていない。

「カキくん、すごいよ。僕も結構頑張ったんだけどな・・・」

 ナタリオは、立ち上がりながらそう言ってきた。

「魔術もちゃんと発動してたし、一学期よりもずっとよくなってるよ」

 ナタリオは、さらにそう言った。

「あんまり実感ない感じかな?」

 カキの様子を見たノーマは、そう言いながら近づいてきた。

「なんか、何にも考えずに動いてたのに、気がついたら終わってた、みたいな・・・」

「頭使わずにを実行したわけだ」

「そう、なのかな・・・?」

 まだまだ、どういう状況なのかカキは理解しきれていない。

「頭で考えるよりもさきに、体が動いてたってことね」

「・・・!そう!そんな感じ!」

 ノーマの言葉に、カキはすっきりしたような表情を浮かべた。モヤモヤが晴れたような感じだ。

「いいじゃない。そういう感覚も大切よ」

 ノーマはそう言って、カキのことを褒めた。

「カキくん、いきなり実践したんだ。すごい・・・」

 ナタリオも、感嘆の声を漏らす。

「本当ね。いきなりそれを実践できるって結構すごいことよ。その感覚、忘れないようにね。これからも活きてくるわ」

 ノーマは、さらにそう言って褒めた。

 カキは何だか照れてしまって、うまく言葉にはできなかったが、今回のことを忘れないようにしようと誓った。

「まぁ、でも、いつでもそうやって動くのが正解ってわけでもないから、状況を判断できる力も必要よ」

「わかった!」

 カキは元気よく返事をして、またナタリオとバトルを始めた。




 今日はノーマの授業があって、それは、すなわち七時間目まで授業があったということ。戦闘コースは帰る時間が遅いということだ。

「帰ろうぜー」

 カキがそう声をかけたときだった。

 ドーン、と大きな地響きのような音がした。恐らくは、正門の方からだ。

「な、何だ!?」

 まだ教室から出た生徒はおらず、みんな今の音にざわついていた。

 みんな、教室の窓から音のした正門の方を見てみる。

 正門の方では、何やら砂ぼこりがたっていて、何が起きたのかは見ることができない。

 でも、確実に“何か”は起きている。

「何だろう」

「何か降ってきたのか?」

「先生たちが出てきてるな」

「ってか、何か慌ててるっぽくね?」

「え、待って。怖いんだけど・・・」

 みんな、口々にいろいろなことを言う。感情も、人それぞれだ。

「何だろうね」

「うん・・・ちょっと、怖いな」

 シーラとマリアンも、不安そうな表情で窓のそとを見つめる。

「大丈夫だよ。先生たちがいるんだし。何も不安になることなんてないよ」

 ケヴィンはそう言って、シーラとマリアンに近づく。

「お前が危ないわ。離れろ」

 そんなケヴィンの襟をビトは後ろから掴み、シーラとマリアンから離す。

「けどさ、先生たちだってオレたちがまだ学校にいるのはわかってるよな?なのに誰も来ないって、ちょっと変じゃね?」

「じゃ、じゃあ、何かとんでもないことが起きてるってこと・・・!?」

 ジャスパーの言葉に、ナタリオは青ざめる。

 たしかに、ジャスパーの言っていることも一理あるかもしれない。あの大きな音が鳴ってから、誰もこの教室にやって来ていない。それは少しおかしい。

「・・・オレ、ちょっと見てくる」

 カキはそう言って、走って教室を出ていった。

「は!?おい、カキ!」

 ビトはカキを止めようとしたが、一歩遅かった。

「・・・ったく、あのバカ!」


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