第六十二話 最後の夏休み
夏休みに入って二週間が経った頃。カキたちは海に来ていた。
「おぉー・・・!海だ!」
カキとジャスパーは目を輝かせながら海に向かって走っていった。
「あはは、カキとジャスパーはしゃいでるね。よし、私たちも行こう、マリアン、ラウラ!」
「うん・・・!」
「海って、こんななのね」
シーラとマリアンも海へと駆け出し、そのあとをラウラがマイペースに歩きながらついていく。
「海って素晴らしいよね。こんなにも美しい女性たちがたくさんいるんだから」
「てめぇは女のことしか眼中にねぇのかよ」
ケヴィンがいろんな意味で表情を輝かせながら言うので、ビトは鬱陶しそうに言う。
「男が見てあげなかったら誰が見るって言うのさ!?」
「あー、もういい。うざい」
ケヴィンが詰め寄ってきたので、ビトは適当にあしらって海へと足を運ぶ。
「あ、ま、待って、ビトくん」
その様子をうしろから見ていたナタリオは、慌ててビトのあとを追いかけた。
「ビトー、ナタリオー!オレとジャスパーと競争しようぜ!」
さきに海に入っていたカキが、大きな声でビトとナタリオに声をかけてきた。
「はぁ?そんなめんどくせぇことしねぇよ。勝手にやってろ」
「ぼ、僕も遠慮しとく」
ビトとナタリオは対照的な答え方ながらも、断っていた。
「そんじゃ、オレら二人で競争すっか!」
「オレは負けねぇからな?」
カキとジャスパーはビトとナタリオのことをあっさり諦め、すぐに競争を始めた。
そもそも、このメンバーで海に行くことになったのは、終業式のことだった。
「なぁなぁ、みんなで海でも行かねぇ?」
カキは唐突にそう言った。
「海かぁ・・・いいね、楽しそう」
「シーラちゃんが行くなら私も・・・」
シーラとマリアンは、あっさり承諾した。
「海?めんどくせぇ・・・そんなとこ、人が多くて疲れるだけだ」
「でも、予定はないんだろ?行こうぜ、ビト!」
ビトはイヤそうではあったが、あまりにカキがしつこいので折れてしまった。
「海に行くのか?オレも行ってもいいか?」
「もちろん、いいぜ」
ジャスパーも会話に加わってきて、一緒に行くことになった。
「海!?僕も行ってもいいかい!?」
「い、いいけど、お前、いろいろ約束してんじゃねぇのか?」
ケヴィンがすごい勢いで、目を輝かせながらカキに近づいてきたので、カキは若干たじろぎながらも訊いた。
「大丈夫だよ。空いてる日はまだあるし!」
そんなわけで、ケヴィンも来ることになった。
「ナタリオ、お前も海行かねぇ?」
「えっと・・・僕も行っていいなら」
ナタリオも来てくれるようだ。
「あとは・・・ラウラ!海行かねぇか?」
「海?何それ?」
「え!?お前、海知らねぇの!?じゃあ、なおさら行こうぜ!楽しいからよ」
ラウラも、カキの勢いに乗せられたような感じで、来てくれることになった。
ニコラスも誘うだけ誘ってみようかとカキは思ったのだが、断られているのは目に見えているのでやめることにした。
そして、全員の予定が合う日を見つけて、海に行くことになったのだ。
なかなかみんなで遊べることはないので、カキはジャスパーと共に思いっきり楽しんだ。夏休みの思い出として、申し分ないほどに。
ラウラも、シーラやマリアンと共に遊んでいたし、ビトやナタリオも自分なりの時間を楽しんでいた。ケヴィンも、いろいろな意味で楽しんでいた。
こんなふうに遊ぶ機会もこのさきは減っていくだろうから、悔いのないようにカキは遊びまくった。
宿題はまだ終わっていないし、夏休みの後半は特訓に充てるつもりだが、そんなことは忘れて楽しんだ。
その分、今までの夏休みの中で一番楽しかった思い出となったと思う。このさきも忘れることのない、楽しい思い出に。




