第五十八話 資格取得のため
「マリアン、次、魔法薬学だよ。移動しよ」
「うん」
シーラとマリアンは魔法薬学のため、教室を移動していた。
「薬学の授業は今までもあったけど、選択科目になるとどんな感じなんだろうね?」
「いっぱい薬草とか覚えたり、薬つくったりしなきゃならないんじゃないかな?」
「そうだねー。できるかな?ちょっと不安」
「大丈夫だよ、シーラちゃんなら」
二人はそんなふうに話しながら、教室を目指した。
「でも、医療魔術学が結構難しかったからさぁ、魔法薬学はちゃんと授業についていけるようにしたいな」
「医療魔術学は素質の問題もあるって、先生が言ってたもんね」
医療魔術は、素質がなければ習得が極めて難しいものなのだ。もちろん、それに相まって技術面も必要とはなってくるのだが、素質はそれ以前の問題だ。
しかも、素質に関してもしばらくやってみなければわからないから、なかなか難しいものだ。
「ま、でも、頑張ろうね!」
「うん!」
シーラが明るく言ったので、マリアンも明るく頷いた。
シーラとマリアンにとって、医療戦闘魔術師になるという夢は一つの大きな目標だった。
そもそも、二人が戦闘魔術師になろうと思ったのは、親が戦闘魔術師だから自分もいずれはそうなるだろうという単純な思考からだった。
さらに、好きな人が戦闘魔術師を目指しているのではと思ったから。
だけど、もちろん戦闘を好んでいるわけではないし、戦場に赴きたいと思っているわけでもない。できることなら避けたいことだ。
そんな中でどうすれば戦闘魔術師としてやっていけるのかと考えた末に辿り着いたのが医療戦闘魔術師という選択肢だ。
戦うこともできるし、傷ついた人たちを救うことができる。それはまさに、二人の理想とするところだった。
助けを求める人の助けになり、また、大切な人たちを守り、癒すことができる。それが、二人の目にどれほどすばらしく映ったことか。
それに、もしも戦闘魔術師として働くことが困難になったとしても、医療関係の道に進むこともできる。将来の幅が広がるのだ。
だから、二人は一生懸命資格を取得するために必修科目も選択科目も学んでいる。
すべては、医療戦闘魔術師という目標のために。
魔法薬学はほとんどが暗記系だったので、医療魔術学よりは簡単な授業だった。
とはいえ、薬草の調合方法や薬草と魔術を掛け合わせた薬をつくり出すのは、なかなか難しいものだった。
調合方法や薬草の種類や量などがわかってはいても、細かく決められていて少しでも間違えると薬として使えない。
「うーん、マリアン、できた?」
「傷薬と回復薬はなんとか」
「回復薬もできたの?私できないんだけど・・・こういう細かい作業向いてないかも、私」
「そんなことないよ。まだ始めたばかりだし、少しずつ頑張ろう?」
「うん。そうだね」
マリアンに励まされ、少し教えてもらいながら、シーラは薬を頑張ってつくる。
薬草と魔術を掛け合わせた薬をつくるのはシーラはできたので、逆にできないマリアンに教えたりもしていた。
二人はずっと、こんなふうに持ちつ持たれつの関係性で頑張ってきていた。
同じ目標を持っていることで、さらにその関係性は強くなった。
きっと、このさきも、二人はずっと支え合ってより絆を深めていく。




