第五十七話 チグハグな四人
カキ、ニコラス、ビト、ナタリオの四人での授業は、想像を越えるほど息が合わなかった。
まずはカキ。そもそもが人より劣っているため、どこの班であったとしても足を引っ張ることは間違いない。
次にニコラス。天才で努力家であるため、実力において足を引っ張ることは絶対にないが、周りのことなど考えないので足並みを揃えることができない。
次にビト。ビトに関してはこの中で一番まともで、実力もそれなりにあり、協調性もある。
だが、基本的にめんどくさがり屋なので、カキとニコラスのようにやりにくいメンバーがいるとやる気が起こらず、結果的にほとんど班としての行動はしない。
最後にナタリオ。自身を過小評価し、また臆病者であるから、自分の思うようにも周りが望むようにも動けない。
というような感じで、実力差以外にも協調性などに欠けるために、まったく班としてまとまらない。
何が必要かと問われれば、やはり協調性ではないだろうか。
「お前らなぁ、もうちょっとうまくやれないのか?」
エベラルドは呆れ果てていた。
「この班じゃ無理だよ、エベ先生」
そんなエベラルドに、ビトはまるで他人事のように答える。
「特に、ニコラスがなぁ。去年も大変だったんだからな」
ビトは、去年の実技戦闘学でのことを思い出しているようだった。
ニコラスは、協力することが嫌いだ。自分の力だけで上を目指したいと考えているから。
「戦闘魔術師になりたいなら協調性を学べ。そらが学べないなら、戦闘魔術師は目指さないほうがいい」
エベラルドは厳しくそう言った。
「一人でやれる職業じゃないんだ。そこのところをちゃんと理解して授業に取り組め」
それだけ言って、エベラルドはカキたちのもとを離れた。
「・・・で、どうするよ?」
ビトはこの四人でいかに協力し合うのかを、三人に尋ねる。
もちろん、まともな答えが返ってくるとは思っていない。
「お前らで勝手にやってろ」
「そう言うとは思ってたけどよぉ。一人じゃどうにもならないのはお前だってわかってんだろ、ニコラス?」
「だから、強くなるんだろ」
「はぁ・・・もう勝手にしろよ」
ニコラスが何を言っても聞く耳を持たないことは百も承知なので、ビトはそれ以上は何も言わなかった。
「カキとナタリオは?」
今度はカキとナタリオに問いかける。
「とにかく、オレはみんなのレベルに合わせられるようにならなきゃだな!」
「ぼ、僕も、ちゃんとできるようにならなきゃ、協力なんて・・・ムリムリムリ」
カキとナタリオの答えは同じようなものだった。
「まぁ、そりゃそうだよな」
ビトも納得するしかなかった。
「でもなぁ、このままじゃ、この班はずっとエベ先生に目をつけられ続けるぞ」
「しょうがないだろ。そもそも、まともな班じゃないんだから」
ビトの言葉に、カキは口を尖らせて言う。
「・・・この分だとオレら、この授業の成績ねぇんじゃねぇか?」
「え!」
「だってなぁ、班にしてるのは実技だっていうこともあるけど、協調性を学ぶためだろ?協調性の欠片もないこの班じゃなぁ・・・」
ビトは頭を掻きながら、ため息混じりに言った。
「余ってたとはいえ、ニコラスを入れたのはまずかったんじゃねぇか?」
さらにビトはそう言ったので、カキは不満そうな顔をしながらも言った。
「けど、どうせオレらの班にしか入れねぇだろ、アイツ」
「は?」
思いもしなかった返答に、ビトは驚いた。
「アイツはレベルが違う。その上、刺のあるような言い方するし、あんま良いようには思われてねぇだろ。けど、オレらの班ならアイツはアイツらしくいられるじゃねぇか」
「・・・お前、そこまで考えて、わざとニコラスを入れたのか?」
驚きを隠せないビトに、カキは冗談めかして言った。
「ま、オレがニコラスと勝負したかったっていうのもあるけどな!」
ビトはしばらく目を丸くしていたが、やがてこう言った。
「────・・・じゃ、意地でもうまくやらねぇとな」
それに、カキは笑顔で答えた。
「おう!」




