第五十四話 魔法学校、最後の一年
カキたちは今日から、試練の一年を過ごすことになる。
今日から、カキたちは六年生。魔法学校、最後の一年の幕開けだ。
六年生では、三学期に卒業試験がある。これは全コース共通で、そのコース特有の卒業試験が行われる。
そんな中で、戦闘コースは卒業試験が最も難しいとされるコースだ。命懸けの職業ゆえに、生易しい試験ではない。
当然、卒業試験と言うからには、受からなければ留年だ。
だから、誰もが必死で授業を受け、技術を習得しようと精一杯頑張る。
無論、カキたちだって同じように頑張ることになる。
「ついに六年だな、ビト!」
「お前は相変わらず朝からうるせぇな」
カキが明るく言ってくるのに対し、ビトはげんなりした様子で答える。
「六年だぞ?戦闘魔術師がいよいよ目前に迫ってきてるって感じじゃんか!」
「でも、その戦闘魔術師になるためには、卒業試験に受からないとね」
興奮するカキに対し、うしろからやって来たシーラは笑顔でテンションの下がることを言ってきた。
「何だよ、シーラ」
一気にカキは不貞腐れる。
「ま、まぁまぁ、カキくん。試験に受かりさえすればなれるんだから・・・」
「・・・何か、遠回しに俺には厳しい的なこと言ってねぇ?」
おずおずと言ってくるマリアンに対して、さらにカキは不貞腐れる。
「そんなことないよねぇ?」
シーラが、わざとらしくマリアンとビトと顔を見合わせる。
シーラとはもう六年間ずっと一緒に過ごしてきた。こんなやりとりも、今では日常茶飯事だ。
カキ、シーラ、マリアン、ビトの四人で、ほとんどずっと一緒にいるんだ。冗談を言ったりしてじゃれあうことも多くなってきた。
「あ、シーラちゃん、マリアンちゃん、おはよ~」
気の抜けたような、ほわほわした様子のケヴィンがうしろから声をかけてきた。
「シーラとマリアンだけかよ」
「あぁ、もちろん、カキくんやビトくんにも言ってるよ~?」
相変わらず、ケヴィンは女子しか眼中にないらしい。
「いよいよ、最後の一年だなー」
「こ、今年もよろしくね?」
ジャスパーとナタリオもいつの間にやらやって来ていた。
教室まで向かうと、扉の前にラウラがいた。
「あ、みんな一緒だったんだ」
「おう。学校近くからだけどな」
教室に入ると、半数くらいはすでに来ていた。
「このクラスで過ごすのも、あと一年なんだよな」
カキがそんなふうに呟くと、うしろから鬱陶しそうな声が聞こえてきた。
「オレは清々するけどな」
「ニコラス」
「邪魔だ、カキ。そんなとこに突っ立ってたら入れねぇだろうが、バカ」
「おまっ、またバカって・・・!」
「あ~あ、また始まっちゃった」
カキとニコラスの言い争いが始まり、シーラは困ったような笑みを浮かべてそう言った。
思えば、カキとニコラスとシーラ、それにマリアンは六年間クラスが一緒だった。ニコラスはともかく、仲良くやってきた。
そして、ビトとは五年間、ケヴィン、ナタリオ、ジャスパー、ラウラとは三年間、仲良くやってきた。
卒業後、どうなるかはわからないが、変わらず仲良くやっていきたいと願う。
その前に、この一年頑張って、卒業をしなければならないが。
だけど、きっと、みんなで卒業して戦闘魔術師になれると、カキは信じて疑わなかった。




