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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第三部 戦闘魔術師への道
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第五十三話 協力なんて


 誰が協力なんかするかと、ニコラスは憤っていた。

 だからといって、自分一人で勝てるとも思ってはいない。こてんぱんにやられるだけだ。

「ニコラス、俺たちに残された道はただ一つ。それしかないことはお前だってわかってるはずだ」

「は、ふざけんな。意味ねぇんだよ、そんなの・・・!」

「じゃ、プライドを捨てずにやられっぱなしで負けんのと、プライドを捨ててでも一撃入れるの、どっちがいいんだ?」

 ビトとニコラスは静かに睨み合っていた。

「正直なぁ、オレはどっちでもいいんだよ。でも、お前は勝ちてぇんだろ?だったらさぁ、選択すべきものを間違えんなよ」

 ため息を漏らしながら、ビトはさらに言った。

 ニコラスだってわかっている。選択すべきは『協力』だということを。

 だけど、どうしてもそれを選択したくはないのだ。自分の力でどうにかしたいのだ。

「っ・・・!」

 それでも、このまま終わりたくもない。

「ねぇ、いつまで話してるの?私は私で勝手にやるけど」

「あ、おい────・・・」

 ビトとニコラスがいつまでも動かないから、ラウラが声をかけてきた。

 そして、ビトが制止の声をあげるのとほぼ同時に、ニコラスが言葉を発した。

「今回だけだ」

 ビトとラウラはニコラスを見る。

「協力、してやる。だから、何が何でも一撃は絶対に入れる・・・!」

 ラウラは相変わらずの無表情だったが、ビトは、まったく、と言うようにため息を漏らした。

「んじゃ、どうするよ?」

 ビトはニコラスに問いかける。

「ビト、接近戦は得意か?」

「できなくはねぇけど、得意とは言えねぇだろうなぁ。オレはどっちかと言えば後方支援のほうが合ってるだろ」

「なら、さっきまでと同様にオレとラウラで接近戦。お前は後方支援だ。だが、オレとラウラも魔術は使う」

「それを邪魔しないように先生に攻撃しろって?難しいこと言うなぁ」

 ビトは頭を掻いた。

「お前ならできるだろうと考えてのことだ」

 ニコラスからの思いもよらない言葉に、ビトは目を見開いた。

「・・・買い被りすぎだろ」

 ため息混じりにビトが言ったのと同時に、三人は動き始めた。

 その様子を見たノーマは、誰にも気づかれないように笑みを浮かべた。

「そうこなくっちゃ」

 決して、協力をしたいわけではない。それはわかっている。

 だけど、ニコラスは自らその選択をした。促されている部分もあるかもしれないが、自分の意思で選んだ。

 そのことが、ノーマにとっては嬉しいのだ。ニコラスの成長を垣間見ることができたことが。

「あなたが本当の意味で強くなるための一歩になるはずよ」

 ノーマは一人、呟いた。

 ノーマにとって、大切な生徒たちが成長していく様を見るのは、何よりも嬉しいことなのだ。

 これで、試合の行方はわからなくなった。今の彼らなら、一撃を入れることは可能かもしれない。




「はーい、お疲れ様」

 ニコラス、ビト、ラウラは、息を切らしつつもノーマに攻撃を入れることができてそれなりに満足していた。

 ノーマも、三人の健闘ぶりに大満足だった。

「少しは協力することの大切さ、わかったかしら?」

「・・・どうだかな」

 ノーマの言葉に、ニコラスはそう答えたが、何かしら思うところはあった。

 何はともあれ、三人とノーマとの試合は無事に終えることができた。


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