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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第三部 戦闘魔術師への道
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第五十一話 実力はあるけれど


「こいつら、マジで協調性なさすぎ・・・!」

 ビトは好き勝手に動くニコラスとラウラに対し、イラついた様子で口にした。




 今日のノーマの授業で最後の試合のメンバーとなったのがビトとニコラスとラウラだった。

 実力でいえば、もっとも強い組み合わせだろう。何しろ、天才と呼ばれるニコラスがいるのだから。

 ラウラもニコラスに負けず劣らずの実力があるし、ビトだって人並み以上の実力がある。

 だから、今回こそはいくらノーマでもやられてしまうのではないかと誰もが思った。

 中級魔術師とはいえ、三対一ではノーマのほうが不利だ。相手が子供とはいえ実力者ならなおさら。

 だけど、ノーマはこう言ったのだ。

「ま、実力はあるけれど、たぶん一撃も入れられないよ」

 みんな、その言葉にビックリしてしまった。

 カキたちでさえ一撃は入れられたのに、一体ノーマは何を言っているのだろうか。

「言ってくれんなぁ、ノーマ先生。ま、オレも同意見だけど」

 カキの隣にいたビトは、複雑な笑みを浮かべながらそう言った。

「な、何でだよ?」

「わかんねぇの?この試合は、『協力すること』が大前提としてあるんだよ。オレはともかく、あの二人が協力なんてすると思うか?」

 意味がわからないというカキに対し、ビトはそう答えた。

「しかも、先生は今、『一撃も入れられない』と口にした。たぶんこの一言で、ニコラスは冷静さを欠いてるはずだぜ」

「あー・・・」

 ビトの言葉に、カキも納得してしまった。

 これで本当に一撃も入れられなかったら、理不尽にカキはニコラスに怒られることだろう。無言か、そうでないかは別にして。

「ビト、頑張って一撃入れられるようにしろよ。ヘタすりゃ、お前もとばっちりを食うかもしれねぇからよ」

 カキはそんなふうに、ビトにエールを送った。




 そんなわけで試合が始まったわけだが、ビトの言っていた通り、ニコラスもラウラも好き勝手に動いている。協力なんていう言葉は、この二人の中には存在しないらしい。

 おかげで、ビトはまともに攻撃を与えることもできず、呆れ果てている。そして、若干イラついてもいる。

「・・・っとに、こいつらとチームなんてついてねぇ」

 小言を言いながら、もう勝ち目はないと諦めている。

 そんなビトのことなど気にもせず、ニコラスもラウラもノーマに攻撃を仕掛けていく。

 だが、全然あたりもしなければ掠りもしない。

 そのことに、ニコラスはかなりイラついている。

 ラウラに関しては、相変わらずの無関心といった態度だが。

「ダメよ、感情に身を任せちゃ。もっと冷静になって。今のままじゃ勝てないってことは、あなただってわかっているでしょう?」

「うるさいっ」

 ノーマはニコラスを宥めるようにそう言うが、ニコラスは聞く耳を持たない。

「力だけじゃどうにもならないことだってある。力以外にも大切なことはあるの。それを、私はずっと言い続けている。聡明なあなたなら、それが何かわかりきっているでしょう?あなたでなくても、ここにいる誰もがわかりきっているのだから」

「そんなことはどうでもいい・・・!」

 今のニコラスは、苛立ちのままに攻撃している。

 そんな攻撃じゃ、ノーマには簡単に避けられてしまう。

 ニコラスだって、わかってはいる。どうすることが勝利への近道なのか。


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