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魔術師たちのカナデアイ~交錯する想いと戦い~  作者: 衣月美優
第三部 戦闘魔術師への道
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第五十話 どんなに自分が嫌になっても


 ノーマとの試合に向けて、そして、戦闘魔術師に向けて、カキは特訓を重ねていた。

 魔術より体術のほうができるカキは、今は体術を磨くことにした。もちろん、魔術のほうもおろそかにはしていないが。

 毎日ひたすらに、特訓、特訓。

 ときには、ラウラに教えてもらいながら、ただひたすらに一生懸命にやっている。




「はーい、じゃあ、今日の第二試合!カキくん、マリアンちゃん、ジャスパーくんの三人チームよ」

「よっしゃー!ついに俺の出番!」

 ノーマの言葉に、カキは嬉しそうに飛び上がった。

「お前、うるさい」

 隣で急に大声を出してきたので、ビトは鬱陶しそうにそう言った。

「いいだろ、楽しみにしてたんだから!」

「お前に勝てるわけないだろ」

「いいんだよ!そんなことは!」

 勝ち負けが重要ではないとノーマも言っていたし、勝てないことくらいカキにだってわかっている。

 実際に戦ってみることに意味があるのだ。まだ戦闘魔術師ですらないカキたちが、現役の戦闘魔術師と戦えるということは、貴重な経験となるのだから。

「それじゃ、頑張って協力して私を倒しにかかってね」

 ウィンクをしてノーマがそう言い、試合が始まった。

 カキとジャスパーは一気にノーマに向かって駆け出した。思考回路が似ているのだろうか。

 二人はノーマに体術で仕掛けていく。

「え、えっと・・・」

 マリアンはどうするべきかわからず、若干挙動不審ではあったが、魔術での後方支援が妥当な判断だとし、魔術を繰り出した。

「“フェイル・カッター”」

 木の葉がノーマ目掛けて鋭く飛んでいく。

「私が求めてるのは協力よ?共に戦う仲間の動きも考えて動かなきゃ」

 ノーマの言う通り、三人の動きはちぐはぐで、今にも仲間同士で傷つけ合いそうな状況だ。

 マリアンは細心の注意を払いながら魔術を発動しているが、カキやジャスパーの動きに若干翻弄されている。

「狙うべきは何かをよく考えて。自分がすべき行動をよく考えて」

 ノーマは三人の攻撃を避けながら、言い聞かせるようにそう言う。

 三人とも、誰も攻撃のタイミングが合っていないのだ。そう言うのも無理はない。

「────・・・ジャスパー、下がるぞ!」

 ノーマの言葉を受けて、カキはジャスパーと共にマリアンのもとまで下がった。

「マリアン、この中で一番頭が回るのはマリアンだ。そして、確実に魔術を発動できるのも」

 カキはそう前置きをして話し始めた。

「オレは、魔術も体術もまだまだで、役には立たない。そんな自分が嫌いだ。だけど、一人じゃ無理でも、誰かと一緒なら何とかやれるかもしれないんだ・・・!だから、三人で協力して、せめて一撃でもノーマ先生に入れよう!」

 カキの必死な訴えに、ジャスパーは力強くカキの肩を叩いた。

「よっしゃ!頑張ろーぜ!このまま負けるのは悔しいしな」

「うん・・・!私も、頑張って作戦考える。三人で頑張ろう」

 ここからが、本当の試合のスタート地点だ。




 結論から言うと、一撃は一応入れることはできた。

 とはいえ、ほんのかすり傷程度で、本当の戦闘ならば完全にこちらの負けである。

 だけど、それでも、一撃を入れることができたことに、カキもジャスパーもマリアンもとても喜んだ。

「うん。はじめは危うかったけど、ちゃんと協力できたじゃない。だからこそ、一撃を入れることができたのよ」

 ノーマも嬉しそうにそう言った。

「今回のことを忘れないでね。協力することの大切さを。経験は絶対に無駄にならないわ」

 ノーマの言葉を胸に、カキたちは一歩前進する。


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