第四十八話 シーラの作戦
勝つためには協力が必須だとノーマに言われ、シーラはこの三人でどんな協力ができるかを必死に考えていた。
とくに、ナタリオは戦意を喪失しているから、どう使うべきか考えどころではあった。
ナタリオは後方支援にしか恐らく回せない。近接戦は間違いなく苦手だろう。
ケヴィンはさっき前に出たところを見ると、近接戦のほうが得意なのだろう。これまでの試合からもそうだと言える。
なら、今思いつく精一杯の戦略は────・・・
「ケヴィン、ナタリオ!」
シーラは双方を見て、呼びかけた。
ケヴィンとナタリオは、シーラに従ってシーラのもとへと行った。
シーラの作戦を聞いたケヴィンとナタリオは、それぞれ気持ちは別だが、その作戦に乗ることにした。
「じゃ、いくよ」
シーラの言葉により、ケヴィンとナタリオはそれぞれ動き出した。
ノーマは動き出した三人に対し、一体どんなことをしてくれるのかと期待しながら迎え撃つことにした。
「“ソーン・キャップ”」
ナタリオは、慌てふためきながらなもすばやく魔方陣を描き、魔術を発動した。
“ソーン・キャップ”とは、土による拘束魔術だ。
「おっと・・・そうくるのね」
ノーマは自身を拘束しようと地面から延びてくる土を避け始めた。
「“ソーン・キャップ”」
ナタリオだけでは無理だと感じ、シーラも魔術を発動した。
二人の魔術に追われながらも、ノーマは余裕の動きでかわす。
そんなノーマに、ケヴィンは近づき、体術で攻撃をする。
ナタリオとシーラはケヴィンのサポートを受けながら、ノーマを捕らえようとする。
「あ・・・」
ついにノーマを捕らえることができた。
ナタリオの魔術が捕らえたので、シーラは魔術を解き、新たな魔術を発動した。
「“ドナ・ブリック”」
“ドナ・ブリック”とは、雷を作り出す魔術だ。
「なるほどな」
カキの隣で試合を見ているビトが、試合から目を話さないまま言った。
「何が?」
カキはビトが何に納得しているのかわからず、首をかしげる。
「“ソーン・キャップ”は土属性魔術。“ドナ・ブリック”は雷属性魔術。土属性魔術は雷属性魔術に弱いから、拘束しながらも、全身に魔術の力が弱まることなく伝わる。シーラはそれを狙ったんだな」
ビトの説明の間に、シーラの魔術がノーマにぶつかっていた。
ビトの言っている通りなら、ノーマは雷に打たれたような状況になり、なおかつ、拘束されているので抜け出す術もないように思える。
だが────・・・
「うん。即興にしては、なかなかいい感じの戦い方ね」
いつの間にやら、ノーマは拘束から外れていた。
「まぁ、先生相手じゃこの戦法は無理だな」
その様子を見ながら、ビトは涼しい顔でそう言った。
「な、何で、ノーマ先生、拘束から外れてんの?」
カキは頭が追いついておらず、またもビトに訊いた。
「土属性魔術は雷属性魔術に弱いって言ったろ?つまり、“ソーン・キャップ”は“ドナ・ブリック”によって壊された。そうなれば、ノーマ先生は拘束から外れる」
「けど、さっき、拘束しながらもって言ったじゃねぇか」
「それは、ナタリオの“ソーン・キャップ”を壊さない程度の強さでやればって話だよ。シーラのはナタリオの魔術より強かった。それに、そうでなくてもノーマ先生は拘束から外れられる」
「な、何でだよ」
「オレらはまだ生徒。中級魔術師であるノーマ先生の足下にも及ばない。オレらの魔術の威力ぐらいなら、簡単に抜け出せる」
つまり、そんな簡単にはノーマを倒すことはできない。あたりまえのことではある。
けど、それではあまりにつまらなさすぎる。結果がわかりきっているなんて。




