第四十七話 ノーマの最初の試合
ケヴィン、シーラ、ナタリオの三人はノーマと向かい合わせに立っていた。
「やぁ、シーラちゃんとチームになれて嬉しいよ」
「ありがとう。頑張ろうね!」
ケヴィンに近寄らせないように目で牽制しながら、シーラは答える。
「ナタリオも頑張ろうね!」
右隣に立つナタリオにもシーラはそう声をかけたが、ナタリオは真っ青な顔でまったくシーラの声が聞こえていない。
「だ、大丈夫?」
「ムリムリムリ・・・」
シーラは心配そうに訊くが、相も変わらずナタリオの様子は変わらない。
「さぁ、三人とも、準備はいい?」
ノーマは笑顔でそんな三人に訊いた。
「それでは、制限時間は十分。始め!」
ノーマの言葉と同時に、シーラが魔方陣を描き、魔術を放った。
「“バブル・アタック”」
“バブル・アタック”とは、簡単に言えば泡を飛ばすもの。
ただし、それが何かに触れれば爆発し、霧が出る。
「わぁ、シーラちゃん、いきなりやるねー。じゃ、僕も頑張ろうかな」
シーラの放った“バブル・アタック”を見て、ケヴィンは一気にノーマと距離を詰めた。
「うーん・・・考えはいいんだけど、この魔術を出したときは、あんまり距離を詰めないほうがいいよ」
ノーマはそう言うと同時に、シーラの“バブル・アタック”を水鉄砲の要領で“アクア・コーゲル”を放ち、爆発させた。
一気に霧に覆われ、カキたちからはノーマたちの姿が見えなかった。
それは、シーラ、ケヴィン、ナタリオとノーマも同じ。三人は、とにかく攻撃されないように、少しずつ移動をしていた。
だけど、ノーマにはこの中でもシーラたちの姿を捉えていた。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
「うわぁ!」
霧で何も見えない中、ケヴィン、シーラ、ナタリオの叫び声が聞こえてきた。
その後、徐々に霧が晴れてきてカキたちのほうからも試合の様子が見えてきた。
ケヴィン、シーラ、ナタリオはその場で倒れていた。ノーマに攻撃されたのだろう。
でも、あの霧の中でどうやってノーマは攻撃したと言うのだろうか。
「ごめんね、三人とも。私も簡単には負けられないからさ」
ノーマはケヴィン、シーラ、ナタリオに向かってそう言った。
「でも、まだ立ち上がれるよね?」
ノーマは笑みを浮かべて三人に訊いた。
この程度でやられてはならない、という意味が含まれているのだろう。
当然、三人は立ち上がった。
ナタリオに関しては、立ち上がりこそしたが、完全に闘争心がなくなっていたが。
「私に勝ちたいなら、協力は必須よ」
ノーマは三人に、そして、カキたち見ているほうに向けてそう言った。
シーラは必死に打開策を考えていた。ノーマ相手に勝つ算段はあるのか、と。
このままではやられっぱなしで終わる。それならまだいいが、このまま時間切れで終わるのは悔しい。
ノーマはシーラたち三人が仕掛けてこなければ動かない。そうであると今までの行動でシーラは確信した。
あくまでこれはノーマにとって生徒のための授業。生徒の成長を見るため、促すための試合。
ノーマは生徒に考えさせたいのだ。格上相手にどうすれば勝てるか。今の実力で、どこまでできるかを。
もちろん、ノーマ自身に負ける気は一切ない。さっきノーマが言っていた通りだ。
ただ、相手の強さに合わせて動いてはいる。それは、本気ではないというのとはまた違ったものだ。
「さぁ、三人はどう戦う?」
ノーマは楽しげにそう訊いた。




