第四十五話 模擬バトル
「二学期からは模擬バトルをしていきたいと思います」
二学期最初の授業で、ノーマはそう言った。
「去年の体術と今年の戦闘魔術を使ってバトルをしてもらいます。はじめのうちは二対二のバトルを、その後、私が決めたチームと私とのバトルを」
ノーマの言葉にカキたちはそれぞれ、色々な反応を示した。
まずバトルができるということ。
そして、ノーマとのバトル。
驚きや困惑、嬉しさや恐怖などの感情がそこに溢れた。
「とりあえず、ペアでやる間は頑張ろうぜ、ナタリオ!」
「う、うん・・・でも、きっと足引っ張っちゃうよぉ」
「・・・お前、喧嘩売ってんのか?実力じゃあ、お前のほうがオレより上だろうが」
「そ、そういうつもりで言ったんじゃ・・・」
ナタリオは相変わらず怯えた様子だ。こういうのは得意じゃないから無理もないだろうが。
「頑張ろうぜ。戦闘魔術師になるんだろ?こういうことこそ頑張んねぇと」
「うぅ・・・・そうだね。頑張ってみるよ」
カキの言葉に、ナタリオははじめてしっかりとした表情を見せた。
(こいつ、こんな表情もできるんじゃねぇか)
カキは驚いてしまった。それぐらい、自信なさげな表情しか見たことがなかったのだ。
「それでは、さっそくやっていきましょう。試合相手はくじ引きね。同じ番号を引いたペア同士で試合よ。みんなの試合を見て、勉強もしましょう」
ノーマの言葉で、ペアの代表がくじを引きにいった。
くじを引き終わると、それぞれが対戦相手を探しだした。
「一回の授業で試合ができるのは、三組。対戦順は、出席番号の若い子がいるところからにしましょう」
ノーマの言葉により、一試合目が開始された。
カキとナタリオは六試合目なので、再来週の授業だ。
「じゃ、今日最後の試合は、カキくんとナタリオくんのペアと、ビトくんとジャスパーくんのペアね」
カキはワクワクした様子でノーマに指示された場所にナタリオと共に立った。
カキとナタリオの視線のさきには、ビトとジャスパーが立っている。
「それでは、制限時間は十分。お互い、全力で頑張りましょう。始め!」
ノーマの言葉により、試合が始まった。
さきに動いたのはもちろんカキだ。
だが、それとほぼ同時に、というよりもカキが動いてすぐにジャスパーも動いた。
若干、ジャスパーのほうが遅かったはずなのに、カキにすぐ追いついていた。
ジャスパーは瞬発力が尋常じゃない。下手をすれば、学年で一番くらいかもしれない。
そんなジャスパーと、カキは体術で戦っていた。
その二人の後ろでは、それぞれペアのナタリオとビトが後方支援として魔術を放っている。
「このままじゃ、終わりそうにねぇな。しょうがねぇ・・・“ドナ・スピア”」
ビトがかったるそうに言った瞬間、カキとジャスパーのもとに、雷の氷柱が大量に落ちてきた。
ジャスパーは寸前で、その瞬発力によってビトのもとまで下がった。
「うぉ!?」
カキは避けるので精一杯だ。
「し、“シールド”!」
ナタリオは慌ててカキの頭上に“シールド”を発動する。
だけど、カキとナタリオが上に気をとられている間に、ジャスパーが素早い動きで蹴りなどを入れてきて、二人は倒れることになった。
「そこまで!」
ノーマが声をあげ、ビトとジャスパーの勝利となった。
こうして、カキとナタリオの最初の試合は敗北という形で幕を閉じた。
次は勝つと、カキは強く思った。




