第三十四話 魔術かくれんぼ〈後編〉
ジャスパー、ナタリオ、ラウラの三人はひとまず三階へと上がった。
だけど、三階では誰も見つけることができなかった。
「やっぱ、あとはみんな魔術使ってんのかな」
ジャスパーは独り言のように呟いた。
「ラウラ、屋根裏にはどうやって上がるんだ?」
ジャスパーが訊くと、ラウラは静かに天井を指差した。そこには、取っ手のようなものがついていた。
「あぁ、これか」
ジャスパーはすぐそばにあった、取っ手にひっかけるためのものであろう棒を手にして、取っ手を引っ張った。階段が音をたてて出てきて、ジャスパーは感嘆の声をあげた。
ジャスパーたちはゆっくりと階段を上った。
「暗いから気をつけて。屋根裏はほとんど物置状態だから」
ラウラは階段を上りながら声をかける。
屋根裏は、たしかに物置となっていた。色々なものが置いてある。というより、ごちゃごちゃと入れていったという感じだろうか。
ジャスパーはつまずかないように足下をよく見て探していった。
足下をよく見ていたジャスパーだったが、あまりにも暗かったために何かに足をひっかけて転んでしまった。
「うわっ!」
ジャスパーが叫んだのと同時だったと思う。小さく、痛っ、という声が聞こえたのは。
ジャスパーが声の聞こえた方をよく見ると、そこにはカキがいた。
「おっ、カキ、見っけ」
ジャスパーがそう声をかけると、カキはとても悔しそうな顔をした。
「くっそー、ここなら絶対見つからないと思ったのに。よく屋根裏なんか見つけたな」
「あぁ、ラウラが教えてくれたんだよ」
「うわっ、そっか、ラウラに言われたらバレるよなー」
ジャスパーの答えにカキは呟くように言った。
その後、四人は一階まで下りていった。
「じゃ、魔術使う前に」
ジャスパーはそう前置きをして叫んだ。
「外にすっげーかわいい子たちがいっぱいいるー!」
ジャスパーの言葉に、カキたちは唖然とした。というか、何を言っているのかわからなかった。
だけど、その言葉の意味はすぐにわかった。
「どこ!?どこにかわいい子たちが!?」
ケヴィンが慌てて階段を下りてきた。
「はい、ケヴィン、見っけ」
ジャスパーはそう言って、ケヴィンの腕をつかんだ。
「あ!ジャスパーくん、嵌めたね!?」
ケヴィンはショックを受けたように叫ぶ。
「だてにずっと同じクラスじゃねぇよ」
ジャスパーはそう答えた。
ケヴィンの性格を利用した、今までずっと同じクラスだったからこそわかった、ちょっとしたジャスパーの罠はケヴィンにはちょろかった。
シーラ、マリアン、ビトの三人は魔術で探すことにしたのだが。
「何でだ!?授業ではできたのに!」
ジャスパーが人や物を見つける魔術を成功させることができず、キーキー言っていた。
そこでカキは思い出した。前にビトが言っていたジャスパーのこと。
────こっちが具体的に指示しなきゃ全然ダメで
「なぁ、ケヴィン。お前、この魔術できる?」
カキはケヴィンに耳打ちした。
「もちろんできるけど?」
ケヴィンは何でそんなことを訊いてくるのかと不思議そうな顔で言った。
「じゃあ、コツとか教えてやってよ」
教えれるものならカキが教えてやりたいが、そのカキ自身が魔術が不得意だからほかの人に頼るしかない。
カキの言葉にやっとケヴィンも理解したようで、ジャスパーのそばに行ってコツを教えていた。
すると、ジャスパーもすぐ魔術を成功させて、無事にシーラ、マリアン、ビトを見つけることができた。
「じゃあ、私たちは帰るね」
「あの、とっても楽しかったよ。ま、また遊ぼうね」
あのあとも色々遊んだが、そろそろ暗くなってきたからシーラやマリアンたちはそう言って帰っていった。
残っていたのはカキ一人だった。
「ベルトランのじいちゃん、すぐ帰ってくるのか?」
カキがラウラに訊くと、ラウラは首を傾げて
「できるだけはやく帰るとは言ってたけど」
と、答えた。




