第三十三話 魔術かくれんぼ〈前編〉
魔術かくれんぼは、もちろん魔術に関してはいくつか制約があるが、ちゃんとかくれんぼとして成り立てば基本的に何でもアリということになった。
最初に鬼になったのはジャスパーだった。
「よっしゃ!じゃ、数えるからはやく隠れてくれよ」
ノリノリのジャスパーはそう言って目隠しをした。
ジャスパーが数えている間、カキたちは各々隠れる場所を探す。また、どんな魔術が使えるかも考える。
カキは魔術のことも考えたが、それは諦めることにした。代わりに、この家に何度も来ているということを活かして、隠れるのに最適な場所を頭の中で探した。
この家に詳しいのはカキとラウラだけだから、ある意味有利と言えるだろう。カキはそう考えて、そうそう見つけることのできない場所へと向かった。
「んじゃ、そろそろ探すとしますか」
ジャスパーは伸びをして、気合い十分探しに向かった。
「まずは普通に探すかなー」
そう言って、近場から隠れられそうな場所をどんどん見ていく。
そんなとき、少し向こうの物陰から何やら声が聞こえた気がした。そこを恐る恐る見てみると、ナタリオが体育座りをして縮こまっていた。
ナタリオは、僕がかくれんぼなんてムリムリムリ・・・、と呟いていた。
「・・・ナタリオ、見っけ」
異様な光景を見せられたジャスパーは恐る恐る言った。
ナタリオはビクッとしてジャスパーの方を見た。何だか怯えたような表情をしていた。
「やっぱり、僕にはムリだったんだよ・・・」
なんてことも呟いていた。
見つかったナタリオは、もちろん魔術を使ったりはしないが、ジャスパーと一緒に行動することとなった。これははじめに決めていた、見つかった人は鬼と共に行動する、というものだ。
ジャスパーはその後、見れるところは見て回って二階へと上がった。魔術を使って探すのはあとにするらしい。
二階に上がっても、一回と同じく隠れられそうな場所だけを探すということをジャスパーはしていた。
ある部屋へと入ると、真っ暗な部屋の中でベッドの上に体育座りでちょこんと座っているラウラがいた。
「うわっ!?」
思わずジャスパーは叫んだ。
ナタリオはナタリオで声も出せないくらいビックリしたらしく、口をパクパクさせて青ざめていた。
まぁ、ラウラの黒髪と白すぎる肌からは幽霊のようにも見えるから仕方ないだろうが。
「なななな、何してんの?え?何で隠れてないの?」
ジャスパーはやっとの思いで訊いた。
「え、ごめん。かくれんぼってどういうのかよくわからなくて。かくれんぼって隠れるものなの?とりあえずみんながどこかしら部屋に入っていったから、自分の部屋に入っただけなんだけど」
「は!?かくれんぼやったことないの?っていうか、それならそれで言えよ!」
今度はラウラの返答にジャスパーは驚かされた。
結局、二階で見つけられたのはラウラだけだった。
「じゃ、この上に行くか。三階で最後だよな?」
ジャスパーはラウラに訊いた。
「えぇ。あ、でも、屋根裏もあるわよ」
ラウラはそう答えた。
「屋根裏、かぁ」




