第三十一話 今になって知ったこと
相変わらずの怠そうな雰囲気でビトは学校に行くために家を出た。
「はぁー・・・」
出ると同時にため息が漏れる。
毎日毎日学校を休もうかと考えるビトにとって、毎日が憂鬱だ。母親が厳しいからそんなことはできっこないのだが。
戦闘コースの生徒のくせにそのやる気のなさは何だ、と言われればそれまでといった感じだ。
とりあえず、今日もどうやったら学校をサボれるかを考えながら歩き出そうとすると、うしろから声をかけられた。
「ビトくん、ちょうどいいところに────・・・」
「おっはよー」
カキは元気よく扉を開けて言った。
二学期になってやっと席替えをしたので、カキは窓側の列の真ん中の席となった。後ろではなかったものの、そこまで目立つ席でもなく、前の席に比べればカキは満足だった。
カキは自分の席につくと、ビトがまだ来ていないことに気づいた。いつもビトのほうがカキより先に来ているはずなのに。
気づくと同時に、ビトが教室に入ってきた。
「ビト、今日は遅かったな」
「あ?あぁ、ちょっと呼び止められて」
カキに声をかけられたビトは、カキにそう答えてシーラとマリアンのところに行った。
カキも何となくそれについていく。
「マリアン、これ、忘れ物」
ビトはそう言って、マリアンにお弁当を差し出した。
「え、あ、ありがとう、ビト。お昼、購買に行かないとなって思ってたから・・・」
ビトからお弁当を受け取り、マリアンはそうお礼を言った。
「ん?マリアン、ビトのことは呼び捨てなんだな」
カキは、ふと疑問を口にした。
「あ、それ、私も思った」
カキの言葉にシーラもそう言う。
「え?あ・・・ビトは幼なじみだよ?」
マリアンは少しおろおろしながらそう答えた。
「「え!?そうなの?」」
カキとシーラは同時に、驚きの声をあげた。
「全然知らなかった・・・」
「っていうか、何で言ってくれなかったんだよ?」
カキの言葉にビトは、言わなかったっけ?、と答えるくらいだった。
それにしても、去年も同じクラスだったというのに、今の今までマリアンがビトを呼んだところを見たことがなかったとは。もしあったとすれば、そのときに二人が幼なじみであるとわかっていたはずだ。
まぁ、もともとマリアンが誰かと話すことが少ないからこんなことがあってもある程度は納得がいくが。去年からこの四人で仲良くしていたというのもあって驚きだ。
「へー、二人って幼なじみなんだー」
そこへ、いつからいたのかケヴィンがそう言って立っていた。ケヴィンはいつも神出鬼没な感じがする。
「僕もかわいい女の子と幼なじみになりたかったなー」
いいなー、と言うようにケヴィンは言う。
カキたちは何て答えるべきなのかわからず、ケヴィンの言葉は無視した。
帰り道、いつものようにシーラとマリアンは一緒に帰っていた。
「それにしても、ほんとにびっくりしたよー。マリアンの家にだって何回か行ったことあるのに」
シーラはそう口にした。
「隣がビトの家とは言ったことなかったし、会うこともなかったもんね」
マリアンはそう答える。
「ま、そうだよね。別に隠すつもりがあったわけじゃないし」
シーラはそう言った。
「それに、知らないことがあるからおもしろいんだよね。何もかも知ってたら、ちょっとつまんないもん」
さらにシーラはそう言った。
親友、だけど、きっとまだまだ知らないことがある。それを知っていくから、もっともっと絆が強くなる。小さなことでも、大きなことでも。




