第二十八話 実技戦闘学
今日の授業から、本格的に実技戦闘学の授業が始まる。そのことに、カキは一層ワクワクしていた。
カキたちは前回の授業で言われた通り、第一演習場にいた。
「それでは、今日から実技戦闘学の授業をしていきたいと思います。前回の授業でみんなの魔術について簡単にテストしたけど、今年はこの授業で魔術を使うことはほとんどありません」
チャイムが鳴り、ノーマが最初に言った言葉は少し衝撃的なものだった。
「今年はおもに体術を学んでもらいたいと思います。みんなはたぶん、戦闘魔術学っていうのを習い始めてると思うんだけど、それをこの授業で使いはじめるのは来年からの予定です。で、六年生でおさらいとして体術と魔術の両方を使っていきたいと思ってます」
ノーマは順を追って説明した。
「この授業は“実技”とついている通り、実際に戦ってもらいます。なので、安全面なども考慮して三年間で徐々にレベルアップしてもらいます」
みんなに、わかりましたか?、と問うようにノーマはみんなの顔を見回した。
「みんなの中には体術からなんてつまらないと思う人もいるかもしれないけど、体術は戦闘魔術師にとって一番重要な基礎です。これをしっかり学んでおかないと、もし魔術が使えない状況などにおかれたときに戦う術がなくなります」
ノーマはさらにそう説明していった。
「では、さっそくやっていきましょう。まずは自分の身を守るための護身術からです」
ノーマはそう言って、手本を見せた。
カキたちはそれに習って体を動かしていく。
魔術が苦手なカキはこれこそはうまくやってやろうという想いでノーマの指示通りに動いていった。
が、やはりカキの動きはぎこちなく、周りとは何だか違う動きとなっていた。
「何でだ・・・何で体術すらもオレはできないんだ!?」
カキはそう叫んでいた。
「まだ始まったばっかだろ。もっとやっていけばそのうちできるだろ」
ビトはカキに対し、鬱陶しそうにそう言った。
「ビトくんの言うとおりよ、カキくん。何でもすぐにできる人はいないわ。気長にやっていきましょう」
ノーマがカキのもとにやって来て、ビトの言葉に同意した。
驚いたことに、まだこうして会ったのは二回目なのに、ノーマは全員の顔と名前を覚えているようだった。
「大丈夫。体術は魔術よりも単純なものだから、鍛練を積めば速く、強く動けるようになるわ」
ノーマは優しくカキにそう言った。
その後、ノーマがペアをつくって攻撃したり防御したりしようと言ったので、各自ペアをつくることになった。
カキは真っ先にニコラスを誘おうと思ったが、すでにニコラスにはペアがいるようだったので仕方なく諦めた。ニコラスにしてみれば、カキとペアになる前に手を打ったというところだろう。
さっきまでそばにいたビトも知らない間にどこかへ行ってしまっていたので、カキは誰とペアを組もうか考えていた。
ケヴィンも何人かの女子に囲まれていて無理そうだし。誰と組もう?
カキが周りを見回していると、ビクビクした様子で立っている男子生徒を見つけた。
「あのさ、もしかして一人?だったら俺とペアにならねぇ?」
カキはその男子生徒に近づき、そう声をかけた。
男子生徒はカキに声をかけられたことに驚いたようで、ビクッ、と肩を揺らしてカキのほうを見た。
「あ、う、うん。ぼ、僕なんかで良ければ・・・えっと、僕はナタリオ・ノックス」
おどおどした様子で男子生徒、ナタリオは答えた。




