第二十七話 実技戦闘学の特別講師
「今日から実技戦闘学がはじまるな!」
カキがワクワクした様子でそう言うと、ビトがだるそうな様子で
「別にそれはいいけどよ・・・何でそのために月二回、放課後までいなきゃならないのかね」
と、言った。
「月二回っていう授業だから、時間割りに組み込めないんでしょ?いいじゃない、月二回くらい放課後に授業があったって」
シーラは明るくビトに言う。
放課後、カキのクラスだけはまだこれから一時間授業があるので教室に残っていた。
「この授業って、学校の先生じゃなくて特別講師の人が来るらしいよ」
マリアンはおずおずと言った。
そんな風にカキたちが話していると、チャイムが鳴ってその特別講師らしき女性が入ってきた。
碧いゆるふわパーマのかかった髪、宝石のようにキラキラとしたエメラルドグリーンの瞳。おっとりした顔立ちの彼女は、誰もが振り返るだろう美人だった。
「はじめまして。実技戦闘学の担当をさせてもらうノーマと言います。これからよろしくね」
ふわっと笑った彼女、ノーマはかわいらしく、優しそうな人だとみんな思った。
「えっと、今日はみんなのことを知りたいと思うので、本格的な授業は再来週からにするね。まずは、とりあえず、今から配るプリントの質問なんかに答えてください」
ノーマはそう言って、プリントを二枚配っていった。
プリントの一枚目には自分のプロフィールを、二枚目には自分の魔術に関しての簡単なアンケートだった。
「時間はあるので、ゆっくり答えてもらって大丈夫です。あと、それは私しか見ないのでそういうのも気にしなくて大丈夫です。私がみんなの実力なんかを知っておきたいだけなので」
ノーマは優しくそう言った。
それが終わったあとは、みんなからのノーマに対しての質問タイムとなった。
「先生、いくつですか?」
「今年十七です」
「若っ!何で講師をしようと思ったんですか?」
「うーん・・・まぁ、仕事としてこういうのもいいかなって」
「先生は上級戦闘魔術師なんですか?」
「ううん、私は 中級戦闘魔術師だよ」
なんて感じに、賑やかな質問タイムだった。
そして最後に、ノーマによるみんなの魔術の実力を測る簡単なテストが行われた。
本当に簡単なテストで、一人あたり一分程度だった。レベルもカキでもクリアできるものだった。
「みんな、今日はお疲れさま。今日の授業はこれで終わりです」
ノーマは笑ってそう言った。
「次の授業は二週間後のこの時間です。第一演習場でするので、忘れずに来てね」
ノーマの言葉にみんなは、はーい、と返事をした。
そのあと、ノーマは思い出したように言った。
「あ、これは授業には全然関係ないんだけど。私、この国に来たばかりだから、良ければこの国のこといろいろ教えてほしいです」
そして、ノーマはそのまま教室を出ていった。
コンコン、と国王の執務室の扉をノーマは叩き、中へと入った。
「ただいま戻りました」
「おぉ、おかえり。どうだった、学校は?」
ベルトランはノーマのことを笑顔で迎えた。
「はい。うまくやっていけそうだと思います。講師としても、監視役としても」
ベルトランの質問に対し、ノーマはそう答えた。
そこへ、ラウラもやって来た。
「あ、ノーマ先生。来ていたのね」
「あら、ラウラちゃん。どうしてここに?家のほうには帰らないの?」
ノーマはラウラに訊いた。
「えぇ、今日はお義父さまに用があるので」
その言葉にベルトランが反応した。
「何だ?」
「ちょっと、体に不具合を感じるので、調べてください。あとででいいので」
ラウラはベルトランの目を見てそう言った。
「それにしても、ノーマ先生が学校にいるのは私にとっては心強いです。私の正体がバレる心配も軽減されますから」
ラウラはいつものように淡々と言った。
「ラウラ、ノーマ、それぞれこれからいろいろなことがあると思うが、自分のやるべきことをやりながらも楽しく生活してくれ」
ベルトランは笑顔でラウラとノーマに言った。




