第二十五話 新しい仲間
自己紹介も済み、さっそく席替えをした。
「良い席当たったなぁ、カキ」
今年も担任となったエベラルドが、うなだれているカキに笑みを浮かべながら言った。
「最悪・・・」
力ない声で、机に向かってカキは呟いた。
休み時間、ビトがカキのもとへとやって来た。
「ほんと、良い席当たったよなぁ。真ん中の列の一番前なんて。よかったな、先生に面倒見てもらえるぞ」
「ほんとお前、そういうとこ嫌い」
ビトの言葉に、相変わらず机に突っ伏したままのカキが答えた。
「オレも最悪だ。お前の隣なんて・・・!」
カキの右隣の席では、ニコラスがイライラした様子でそう呟いた。
が、カキはどんどん力尽きていって、言い返す気力もなかった。
「まぁまぁ、席替えなんてまたやるんだから、それまでの辛抱だよ」
カキの左後ろの席のシーラがマリアンと共にカキの席の隣に立ち、明るくそう言った。
カキはその言葉に少しだけ顔をあげて
「そりゃあ、シーラはマリアンの隣だしさ。ビトだって一番後ろの角だし、まぁまぁ良い席じゃん?でもさぁ、次の席替えまでこの席は辛いよ・・・」
と、言った。
「席替えごときにそんな一喜一憂するなよ」
ビトがめんどくさそうにそう言ってきた。
「えー、でも、席替えって結構重要だよね?」
ビトの言葉にそう反論して、急に男子生徒がカキたちのそばにやって来た。
「えっと・・・誰だっけ?」
カキは少し考えて訊いた。
「ひどいなぁ、さっき自己紹介したでしょ?ケヴィン・マレットだよ。席は君の列の一番後ろさ」
そう彼は答えた。
ケヴィンはさらさらとした金髪で雰囲気的に誰に対しても物怖じしなさそうな感じの少年だ。
「え、一番後ろならいいじゃん。あ、真ん中の列っていうのが嫌とか?」
カキがそう訊くと、ケヴィンは首を横に振ってシーラとマリアンの肩に手を置いた。
「「え?」」
シーラとマリアンはなぜ肩に手を置かれたのかわからず、すっとんきょうな声を出す。
そんな二人をケヴィンは自分のほうへ引き寄せ
「かわいい女の子が周りにいるほうが、やる気がでるじゃん?僕の周り、男ばっかでさ。もう最悪だよ」
と、言った。
カキはその言葉にきょとんとした顔をしていたが、ビトだけはすぐさま反論をした。
「意味わかんねぇこと言うなよ。つーか、離れろ」
ケヴィンはビトにそう言われて、若干渋々といった感じではあったが、シーラとマリアンから手を離した。
「別に少しくらいいいじゃないか。シーラちゃんもマリアンちゃんもとってもかわいいし。あ、もちろん、ビトくんやカキくんとも仲良くさせてもらうよ?」
ケヴィンは笑みを浮かべながらそう言った。
「オレはお前と仲良くできる気がしない」
珍しくビトが少しイラついた様子でそう言った。
「あんま気にすんなよ。そいつ、いっつもそんなんだから」
いきなりうしろから声をかけられた。
「オレ、ジャスパー・ヒチョン。ケヴィンとは一年のときから同じクラスなんだよ」
そう彼、ジャスパーは言った。
ジャスパーはオレンジ色のツンツンとした鬣のような髪をしている。
「そうなの?」
カキがジャスパーの言葉に聞き返すと、ジャスパーは首を縦に振って
「ケヴィンは女好きで有名だからよ」
と、答えた。
「心外だな、ジャスパーくん。僕は女好きなわけじゃないよ。女の子っていうのは男が愛でてあげるものだとは思うけどね」
ケヴィンはジャスパーの言葉にそう答えた。
なんだかカキにはよくわからないが、ケヴィンとジャスパーとはこれから親しくなっていくんだろうなとは感じた。
まだまだ新しい出会いはありそうだ。




