第二十四話 新しいクラス
このジアッシュ国の国王であるベルトランは、自分の部屋で一人の少女と向き合っていた。
「すまないな。本来なら四月のはじめから学校へ行かせるつもりだったが、編入の手続きに手間取ってしまって二週間くらい遅らせることになりそうだ」
ベルトランは少女にそう伝えた。
「大丈夫、です。私は学校にいけなくても、別に構わないのですから」
少女は感情のこもっていない口調で言う。
「そういうわけにはいかん。お前にはたくさんの人と関わってもらわねばならないのだから」
ベルトランは少し強い口調で言った。
少女は顔色変えずにベルトランの言葉を聞いていた。
「まぁ、とにかく学校に行く日まではおとなしく過ごしていてくれよ」
ベルトランはいつもの口調でそう言った。
カキはワクワクした様子で学校まで走っていった。
今日から四年生。待ちに待った戦闘コースでの授業。
シーラにマリアンにビト、それにニコラスもまた三年間同じクラスとしてやっていく。
「おっはよー!」
カキは大きな声でそう言いながら教室のドアを開けた。
「おはよう、カキ」
「カ、カキくん、おはよう」
先に来ていたシーラとマリアンが返事をした。
「朝っぱらからうるせぇなぁ」
さらにビトもそう言ってきた。
「別にいいじゃねぇか。朝からテンション上げてこうぜ」
カキはビトに、ニッ、と笑いながらそう言った。
「なんでだよ、うっとうしい」
ビトはげんなりした様子で呟いた。
始業式も終わり、カキたちは自己紹介をすることとなった。
「俺の名前はカキ・ギリッシュ。夢は誰よりも強い戦闘魔術師になること。よろしくな」
カキは笑顔で自己紹介した。
「私はシーラ・オルコット。夢は医療戦闘魔術師になること。よろしくね」
「俺はニコラス・サックウィル。夢と呼べるものはないが、やらなくてはならないもののために、誰の手も届かない戦闘魔術師になる」
「俺はビト・ヘニング。特に大きな夢はないが、とりあえず戦闘魔術師になるために頑張る。まぁ、よろしく」
「わ、私の名前はマリアン・オリスト、です。えっと、夢はどんなに大きな傷も癒せる戦闘魔術師になることです。よ、よろしくお願いします」
シーラやニコラス、ビト、マリアンたちも自己紹介を次々に終えていった。
みんなそれぞれ、思い描いている夢はちがうだろうけど、もちろん目指すべきものは戦闘魔術師だ。
ともかく、同じ目標を持った者たちが集まるというのはすごいとカキは感じた。この中にいる人たちはみんな、同じ目標に向かって頑張るのだということに。
カキはもちろん、この中にいる人たちはみんな、少しの不安と期待を胸に秘めていた。
これからできる新しい仲間、新しい学校生活、今までとは違う授業。
カキにとっては楽しみでしかなかった。もちろん、ほかの人より劣っているからついていけるかという不安も、米粒ほどなら抱いてはいたが。
カキはいつだって新しい環境を楽しみにする。
これからの三年間、カキにとってどんなものになるのか。みんなにとって、どんなものになるのか。
それは誰もわからないけれど、きっとみんなを素晴らしい目標に近づけることになるだろう。
四月。誰もが素晴らしい道への第一歩を踏み出すとき。




