第二十二話 実技合宿の終わりを迎えて
トーナメントバトルは最終的に、あっさりカキとニコラスが優勝した。
カキとニコラスは優勝の記念品という名ばかりの日用品を貰い、トーナメントバトルも実技合宿も終わりを迎えたのだ。
はっきり言って、トーナメントバトルはビトと戦ったときが一番盛り上がったと思う。決勝戦はいまいち盛り上がりに欠けた。
そのせいか、カキはいまいち優勝を実感していなかった。優勝の記念品がショボすぎたのもあるだろうが。
あっという間に帰る時間になったが、カキはやっと実技合宿から解放されるにも関わらず、ボーッとしていた。
「何ボーッとしてんだよ。優勝したっていうのによ」
ビトがそう言ってきた。
「あぁ・・・いや、なんか呆気なさすぎて。まぁ、オレは大したことしてないけど」
カキは気の抜けたような笑みを浮かべて言った。
「なんだよ。優勝するから見とけって言ったくせに、優勝したのに大したリアクションもしねぇでよ」
ビトは小言を言ってきた。
「いや、嬉しいよ?嬉しいけど、やっぱり勝てたのはニコラスがいたからだし・・・オレももっと頑張んないとなぁって」
カキはビトに対し、そう答えた。
優勝できたことはもちろん、カキにとってとても嬉しいことだ。それを目指して、犬猿の仲であるニコラスと協力体制をとった。
だけど、優勝できたのはニコラスがいたからであって、カキの力は雀の涙ほどしか役に立っていなかっただろう。
そんな風に感じているカキに対して、ビトは
「まぁ、頑張らなきゃいけないのはそうだろうけどよ。でも、お前はちょっと自分のことを過小評価しすぎじゃないか?」
と、言ってきた。
「そりゃ、普通よりは劣ってるけどよ。それでも、やらなきゃいけないことはやってるし、何だって挑戦するだろ?お前はできないなりにちゃんとやってるじゃねぇか」
さらにビトはそう言った。
「たしかに、いろいろやるにはやってるけど・・・」
ビトの言葉に納得がいかないというようにカキは言う。
「素直に喜んでりゃいいんだよ。それに、ニコラスがいたから優勝できたんじゃなくて、カキとニコラスだから優勝できたんだとオレは思うぞ」
「え?」
ビトの言葉がよくわからないというようにカキは首を傾げる。
「ニコラスがあれだけ自分の意思で動けたのは、ペアがカキだったからだろ。カキがペアじゃなかったらあんな風にはやってなかっただろうし。お前らが犬猿の仲であるからこそお互いをよく知っていて、それが優勝に繋がったんだと思うぞ」
ビトはそう言った。
ビトの鋭い観察眼ならではの答えだとカキは感じた。
「そう、なのかな?」
「そうだろ。ま、でもお前はもっと頑張れよ。今回はニコラスとの協力だったけど、この先は試合相手になる機会だってあるはずだし。あいつも戦闘コースなんだろ?だったらそんなことざらにあるだろうし、ニコラスの相手になるなら死ぬほど頑張らないとお前は勝てないぞ」
ビトはさらに言った。
カキはビトの言葉にまたいつもの調子を取り戻して
「そうだよな。オレ、まだまだ頑張るよ。とりあえずの俺の目標はニコラスを越すことだからな!」
と、笑って言った。




