↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
5/63

第5話 ビルドの試行錯誤と、最初の一歩

興奮で動悸が激しくなる中、俺は目の前に広がるステータス画面を食い入るように見つめた。


―――

名前:山田大輔

年齢:41

レベル:2(+1)

筋力:13

体力:12

敏捷:4

知性:5

ステータスポイント:11(捕食+6 / レベルアップ+5)

スキルポイント:2


【取得可能スキル】

・『突進力の強化(必要SP:2)』:ホーンラットの特性。体重とスピードを乗せた体当たり攻撃の威力が上昇する。

・『微小な嗅覚強化(必要SP:1)』:匂いに対する感度が増す。水や獲物の探索に有効。

―――


「11ポイント……! それにスキルポイントが2か……!」


手の中にある11ポイントの重み。これまでの人生で、こんなにも「自分の努力(選択)がダイレクトに数字になって還元される経験」があっただろうか。


かつての俺なら、何も考えずに『筋力』だけに極振りしていたかもしれない。

だが、オタク知識と41年間の失敗経験が、俺の頭を冷やした。


(待て……冷静になれ。ただ筋肉をつけるだけじゃ駄目だ。今の俺の最大の弱点は、160キロの肉体を支えきれずにすぐ息が切れる『体力』と『敏捷』の低さだ)


どれだけ筋力があっても、動く前に息絶えたら意味がない。

俺はじっくりと思考を巡らせ、ポイントの割り振りを決定した。


【敏捷:4 ➔ 8】(ステータスP -4)

【体力:12 ➔ 16】(ステータスP -4)

【筋力:13 ➔ 16】(ステータスP -3)


残りのステータスポイントは0。

さらに、スキルポイント『2』を使って、サバイバルで最も重要となる【微小な嗅覚強化】と、160キロの体重を最大の武器に変える【突進力の強化】の二つを獲得した。


【スキル:『微小な嗅覚強化』を取得】

【スキル:『突進力の強化』を取得】


――ズクンッ!


全身の血流が一気に激しく巡り始める。

肺が大きく広がり、酸素を取り込む効率が劇的に跳ね上がっていくのを感じた。

そして鼻腔が刺激され、風に乗って運ばれてくる様々な「匂い」が、はっきりと識別できるようになる。


(これは……土の臭い、腐葉土の臭い……そして……水の匂い!?)


微かに混じる湿った水の甘い香りが、数百メートル先から漂ってきているのが分かった。水場の確保。サバイバルにおける最優先事項だ。


「よし……!」


ゆっくりと立ち上がる。

160キロの腹と丸々と太った足はそのままなのに――身体が、恐ろしいほど『軽い』。


少し膝を曲げて踏み出してみる。

ドスン、という重苦しい足音ではなく、トン、と地面を蹴る手応えが脚に伝わってきた。息切れもしない。心臓のバクバクとした悲鳴も聞こえない。


「走れる……俺、走れるぞ……っ!」


小さく跳ねるように走り出してみる。

風が頬を切り、木々が後ろへと流れていく。

学校の体育の時間、いつも一人だけ周周回遅れになり、教師やクラスメイトからあざ笑われていた俺が。

現場の作業着を着て、ドタバタと不様に汗を撒き散らしていた俺が。


今、自分の意志で、力強く異世界の地を駆け抜けている。


「ハハッ……あはははっ!!」


160キロのブタおじさんは、風を切って笑った。

不快な脂肪の下で、確かに何かが変わり始めている。


嗅覚が捉えた「水の匂い」を目指して、俺は原生林の奥へと突き進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。