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第4話 はじめての討伐

――ガサガサッ、と草むらが揺れる。


俺は太い樹木の陰に巨躯をひそめ、荒い息を殺していた。

視線の先には、先ほど俺をあざ笑うかのように逃げ去った、体長五十センチほどの巨大ネズミの魔物――『ホーンラット』だ。頭部に小さく鋭い角が生えている。


普通に追いかけても絶対に追いつかない。

だから俺は、かつて引きこもり時代に読み漁ったサバイバル漫画やゲームの知識、そして『160キロの体重』という己の武器を使うことにした。


(足元に掘った浅い穴に……さっき集めた『紫毒茸』の破片……)


鼻をつく悪臭を放つ毒キノコ。だが、野生の魔物にとっては強烈な匂いの「餌」に見えるらしい。

ホーンラットがピクピクと鼻をひくつかせ、用心深く穴へと近づいてくる。


クンクンと匂いを嗅ぎ、キノコにかぶりついた瞬間――。


「今だぁぁぁあッ!!」


俺は影から飛び出し、全体重を乗せてドシンッ! と飛びかかった!


『ギッ……!?』


ホーンラットが驚いて跳ね起きようとするが、遅い。

160キロの質量が、上空からダイレクトにのしかかる。


バキッ、と骨の折れる嫌な音が響いた。

【筋力:13】と重力、そして圧倒的な体重が合わさった押しつぶし攻撃。ホーンラットは俺の身体の下で激しく身もだえ、鋭い角で俺の腕を突き刺してきた。


チクッ、と痛みが走る。

だが――【微小な皮膚強化】のおかげで、角は皮膚を数ミリ浅く傷つけただけで止まっていた。


「逃がすかよ……ッ!!」


俺は太い両腕でホーンラットの首元を力任せに締め上げ、そのまま地面に叩きつけた。

何度も、何度も。


『ギ……、……』


やがて、ピクピクと足の痙攣が止まり、魔物は動かなくなった。


「ハァ……ハァ……ハァ……っ! か、勝った……!?」


手の中で力尽きた魔物を見つめ、全身の汗が吹き出す。

41年間、誰にも勝てず、不審者扱いされ、いじめられ続けてきた俺が――自分の力と知恵で、異世界の魔物を一匹仕留めたのだ。


武者震いが止まらない。

だが、感動に浸っている時間はない。血の匂いは他の肉食獣を呼び寄せる。


「火もない……包丁もない……でも……!」


俺は倒したばかりのホーンラットを引き寄せ、口を大きく開けた。

毛皮と生肉の匂い、生温かい血の味が口内に満ちる。


ブチッ、と皮を噛み切り、まだ温かい魔物の肉を喰らいついた。


生の肉と血。人間としての理性が「やめろ」と叫ぶが、飢えた

【フィジカルギフテッド:SSS】が歓喜の悲鳴を上げる。

噛めば噛むほど、力(ステータス)へ変わっていく手応えがあった。


ゴクン、と必死に肉塊を呑み込み、夢中で骨の髄までしゃぶり尽くす。


やがて――脳内に澄んだシステム音が鳴り響いた。


【ホーンラット×1(完食)を捕食・消化しました】

【魔獣肉および魔力のステータス変換を開始します】

【ステータスポイント:+6 を獲得しました】

【『角突き』の特性を解析……スキルポイント:+2 を獲得しました】


【レベルが『1』から『2』へ上がりました】

【レベルアップボーナス:ステータスポイント+5】


「レベルが……上がった……っ!?」


一気に手に入った大量のポイント。

俺は興奮で震える指先で、システム画面を呼び出した。

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