第13話:追憶の涙と、届かぬ故郷
### 第13話:追憶の涙と、届かぬ故郷
木々の隙間から落ちるかすかな月光の下、俺は鬱蒼とした森の巨木に背を預けていた。
――静かだ。
昼間、Aランク冒険者たちとすれ違い、拒絶された記憶が胸の奥を重く締め付ける。
人恋しさと失意の中で、俺の意識は自然と、遠い遠い異郷――日本での生活へと向かっていた。
(母さん……どうしてるかな……)
思い出すのは、病弱で細かったおふくろの背中だ。
160キロの巨体になり、世間から蔑まれ、まともに働けなくなった俺を、おふくろだけは決して見捨てなかった。
「大輔、無理しなくていいんだよ」と、いつだって優しく笑って温かい味噌汁を出してくれた。
俺が突然消えて、どれほど泣いただろう。
残されたおふくろは、一人で生きていけているだろうか。俺を探して倒れてはいないだろうか。
「……う……ッ」
込み上げる愛おしさと申し訳なさで、胸が張り裂けそうになる。
目頭が熱くなり、頬を太い一筋の涙が伝い落ちた。
――ぽたり。
静寂の中、涙が足元の液体へと滴り落ち、小さな波紋を描いた。
だが、その波紋が広がる場所は――澄んだ小川でも、実家の畳の上でもなかった。
――グチュ……。
俺の周りに広がっていたのは、つい先ほど空腹と渇望に耐えかねて叩き潰し、ムシャムシャと食い散らかした巨大な魔物の屍食塊だった。
食ちぎられた寄生狼の肉片、噛み砕かれた甲虫の甲殻、そして地面一面をドロリと覆う、青緑色と赤黒く濁った体液の海。
鼻を刺す強烈な血生臭さと、口内に残る生の肉汁の味。
涙が波紋を作ったその血だまりの中に、月光に照らされた俺の顔がはっきりと映っていた。
血と体液でドロドロに汚れ、丸太のように肥大化した首。
張り出した顎には魔物の肉片がこびりつき、黒く鈍く光る剛力甲殻の肌が、凶悪な『ハイオークの王』そのものの異形を浮かび上がらせている。
「あ…………」
血鏡に映る怪物が、ボロボロと涙を流している。
その滑稽で凄惨な光景を目にした瞬間、胸を満たしていた哀愁が、氷のように冷たい『現実』へと変わっていった。
(そうか……俺はもう……)
どんなにおふくろを思って泣こうと、この手はすでに魔物の生肉を噛みちぎり、骨を砕く怪物の手だ。
この姿で日本へ戻れば、おふくろを助けるどころか、恐怖で絶命させてしまうだろう。
人間社会に戻る道も、故郷へ帰る術も、俺自身の手と歯によって永遠に閉ざされてしまったのだ。
俺は分厚く歪んだ手で雑に涙をぬぐうと、口元に残った肉の塊をゴクンと飲み込んだ。
「……ごめんな、母さん」
誰もいない秘境の夜に、怪物となった男の低い呟きだけが、静かに溶けて消えていった。
第13話まで生き延び、数々の魔物を喰らい尽くして変異を重ねた山田大輔の**現在のステータス**を表示します
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### 【現在のステータス】
**名前:** ヤマダ ダイスケ(山田 大輔)
**種族:** ハイオーク・ヴァリアント(暴食変異体)
**称号:** 秘境の狂獣/人離れの異形/魔物を喰らう者
**【ステータス】**
* **LV:** 24
* **HP(体力):** 4,800 / 4,800
* **MP(魔力):** 320 / 320
* **STR(筋力):** 520 (超大型大型重機の如き剛力)
* **VIT(耐久):** 680 (Aランク魔法・連撃を完封する超硬度)
* **AGI(敏捷):** 110 (巨躯に見合わぬ重戦車級の突進力)
* **INT(知能):** 85
* **DEX(器用):** 60
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### 【所持固有スキル】
* **【暴食変異(固有)】**
* 喰らった生物の遺伝情報・生体組織・魔力を取り込み、自身の肉体を不可逆的に強化・変異させる神級スキル。
* ※強烈な空腹感・飢餓感を定期的に引き起こすリスクを伴う。
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### 【獲得耐性・強化スキル】
【獲得属性・攻撃スキル】
【火炎吐息(ファイアブレス / LV.2)】
喉奥の火炎器官から猛烈な高熱器官ガスを噴出し、一瞬で広範囲を焼き尽くす。肉を焼いて喰う日常の「火種」としても重宝している。
* **【剛力甲殻(LV.4)】**
* アーマーベアや大甲虫の外殻特性を吸収。全身の皮膚が黒みがかった鈍い光沢を放ち、並の剣撃や中級魔法を完全に無効化する。
* **【突進力の強化(LV.3)】**
* 巨大な質量を活かした死角なしの突撃。障害物や群体をまとめて粉砕する。
* **【寄生毒・胞子無効(LV.2)】**
* 秘境の寄生植物や毒甲虫の毒素を胃袋で分解・耐性化。
【火炎・高熱耐性(LV.3)】
自身の放つ火炎や、熱属性攻撃に対する高い耐性。生肉を炙って食べる程度の熱ではビクともしない。
* **【夜視・嗅覚感知(LV.3)】**
* 秘境の夜間でも周囲を鮮明に捉え、生肉や魔物の血の匂いを数キロ先から察知する。
* **【超重胃袋(LV.MAX)】**
* 魔物の骨、甲殻、毒素に至るまであらゆる生体物質を咀嚼・完全消化し、即座に活力(HP・スタミナ)へと変換する。
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### 【現在の容姿・肉体特徴】
* **体重:** 450 kg オーバー(160kgのブタおじさん時代から高密度に凝縮・巨大化)
* **外見:** 2.5メートルを超える巨躯。城門を穿つ太い腕と鉄板のような胸板。張り出した顎と鋭い牙。血と肉汁で汚れ、黒く光る剛力甲殻に覆われた、人間社会からは「魔王」「ハイオークの王」と評される異形。
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