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亡霊のアルゴリズム(冷徹なる処刑装置)  作者: 風風風


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【第2部】「自律分散型スマート集落」  第4章:プロトタイプの根本的な再構築(4) 贖罪(しょくざい)の芽

「若者たちと高齢者たち。

この両方の意識を変えない限り、第二の案件屋は形を変えて現れる」

警察による徹底した摘発と法整備という「盾」。

そして、社会全体が闇バイトの裏にあるカラクリと「案件屋」の存在を知り、対策を講じるという「光」。

両輪が噛み合い始めたことで、

SNSの影で日本中を脅かしていたトクリュウの強大な「情報網」は、確かに崩壊への道をたどり始めていた。

桜の蕾が膨らみ始めた2026年春の街角。


片桐蓮は、ボランティア団体が主催する「シニア向け防犯サロン」の会場で、

小さなパイプ椅子を並べていた。


裁判で言い渡されたのは、懲役二年・執行猶予四年の有罪判決。

実刑は免れたものの、大学を去り、

家族や社会へかけた迷惑の重さは今も彼の肩に重くのしかかっている。

それでも蓮は、松永警部補の言葉を胸に、一歩を踏み出すことを選んでいた。


「片桐くん、プロジェクターの準備、頼めるかい?」

「はい!」


ハキハキと応える蓮のもとへ、受講者の高齢者たちが集まり始めていた。

サロンの後半、蓮はマイクを握り、壇上に立った。

胸が締め付けられるような緊張感の中、深々と頭を下げる。


「皆さん……今日は、僕自身の失敗と、

闇バイトの本当の恐ろしさについてお話しさせてください」


会場が静まり返る。蓮は静かに、しかし力強い声で語り始めた。


「最初は『高収入のアンケート調査』でした。

でも、マイナンバーカードを送信した瞬間から、

僕は指示役の命令に従うしかない『ロボット』にさせられました。

僕が調査と称して街を歩き、スマートフォンのシートに入力していたデータは、

そのまま強盗犯に渡されていたんです」


参加した高齢者たちが息をのむ。


「『不用品回収のチラシ配り』も『リフォームの無料点検』も、

すべて資産状況や家族構成を調べるための『スクリーニング』です。

少しでも怪しいと感じたら、絶対に敷地内に入れないでください。

家族構成や在宅時間を答えないでください。

皆さんの何気ない一言が、案件屋によって『ターゲット名簿』に変えられてしまうんです」


自分の罪を隠さず、実体験として語る蓮の言葉には、

どのような防犯パンフレットよりもリアルな重みがあった。


講演が終わると、最前列に座っていた一人のおばあさんが、蓮の元へ歩み寄ってきた。


「お兄さん、話してくれてありがとうね。

実はうちにも怪しい点検が来て、適当に答えてしまっていたの。

すぐに息子に相談してみるわ」


「……はい。気をつけてください。絶対に、答えないでください」


深々と頭を下げる蓮の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

犯した罪が消えることはない。

だが、自分の言葉が誰か一人の未来を守る力になるのなら――

蓮は逃げずに語り続けることを、心に誓っていた。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

夕暮れ時の警視庁前。

重厚なビルを見上げる松永警部補の隣に、志村刑事が缶コーヒーを持って歩み寄ってきた。

「松永さん、片桐くんの防犯サロンでの活動、各所で話題になっているようですよ。

彼のリアルな体験談を聞いて、不審な訪問者を追い返せたっていう高齢者からの感謝の連絡も入っているそうです」

志村からコーヒーを受け取った松永は、……。


明日も、19:20 に、投稿します。

よろしくお願いいたします。

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