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亡霊のアルゴリズム(冷徹なる処刑装置)  作者: 風風風


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【第2部】「自律分散型スマート集落」  第3章:同一の設計思想を持つ謎の影(1) 究極の結論

神崎の逮捕、そして

「生きた証言者」となった蓮の確保――。

案件屋が構築した「見えない名簿」の

全貌が解明されたことで、

警視庁の捜査班はついに、

トクリュウの最深部、

海外から指示を出し続ける「本当の悪」を

追い詰めるための最終作戦へと舵を切るの

だった。

2028年。

関東での失敗から1年、

カタリストは東南アジアのアジトで

完全な孤立を選択していた。


現地のハッカーグループすら遠ざけ、

みずからの手だけで端末に向かう日々。

前回の実験が残した教訓は明白だった。

「人間に行動をゆだねる限り、

どれほど高度なデータを提示しても

現場で破綻はたんする」。

ならば、

情報を提供する相手

(買い手)の人間性を評価し、行動までを

も論理的に制約する「フィルター」を

組み込む必要があった。


男はプロトタイプに改良を加えた。

今度は単にターゲット情報を

オークションに出すのではない。

ダークウェブ上で

買い手の過去の犯罪傾向、技術水準、

性格の残虐性や突発的な行動履歴を

自動分析し、自社の

「提示したプロトコル通りに

機械のように動ける人間」だけに限定して

情報を売却する仕組みを構築したのだ。


さらに、

現場での不確定要素を排除するため、

犯行に使用させる

通信機器や遮断装置の仕様までを指定し、

それらをあらかじめ

指定のコインロッカー等で無人受け渡しする

「道具のパッケージ化」も試みた。


「人間を意志ある存在として

扱うから狂いが生じる。道具を扱う

『指先』としてのみ定義すればいい」


2028年秋、彼は2度目の実験を決行した。


選ばれた買い手は、技術的素養が高く、

極めて冷静沈着とされる匿名のグループだった。

ターゲットは地方都市の旧家。

カタリストが設計した

侵入ルートと遮断プロトコルは完璧であり、

実行役たちは機械のパーツのように正確に動き、

警備網をかいくぐって

莫大な暗号資産の鍵を奪い取った。


現場での不手際は何一つなく、

犯行は成功したかに見えた。


しかし、事件発生から3日後、

事態は思わぬ方向から崩壊する。


逃走に成功し、

莫大な利益を得た実行グループのリーダーが、

分配金の取り分を巡って

身内と争いを起こしたのだ。

激高したメンバーの一人が

グループを警察に売るという、

あまりにも愚かで

突発的な裏切りによって、

グループは潜伏先で一網打尽にされた。


警察の押収品からは、

カタリストが無人で買い手に渡した

暗号化端末が発見された。

端末自体は強固な自動消去機能が働き、

男への直接の通信ログは完全に消失したものの、

警察当局は

「同一の設計思想を持つ謎の影」が

裏社会で暗躍している事実を重く捉え、

サイバー犯罪対策の

専門組織を新設する事態となった。


「……身内の感情、内輪揉め、自己顕示欲。

どこまで削ぎ落としても、

人間の『精神』そのものが最大の欠陥か」


高層ビルの一室で、

モニターに映し出される

捜査強化のニュースを見つめながら、

カタリストは

冷ややかな乾いた笑いを漏らした。


現場の技術力や手順を

どれほど制御しようとも、

成果を手にした後の人間の愚かさや

感情までは計算に組み込めない。

人間を『指先』として利用することすら、

すでに危険な妥協なのだ。


どれほど精密な罠を仕掛けようとも、

人間というノイズが存在する限り、

完全犯罪という方程式は永遠に解けない。

男の思考は、ついに人間そのものを

システムから完全にパージ(排除)するという、

究極の結論へと加速していくのだった。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

一方こちらは、カタリストの対抗組織

竹内たちのグループの2025年、夏。

「クソッ、神崎の野郎、なんで応答しない!」

熱帯の夜気がまとわりつく東南アジア某国の一角。

冷房が効きすぎたプレハブ小屋の中で、

トクリュウの指示役「龍ドラゴン」こと

竹内(31)は、デスクを激しく叩きつける。

目の前のモニターに表示された

暗号化チャットの画面には、案件屋である

神崎のアカウント名が

寂しく灰色のまま表示されている。

神崎からの定期連絡が途絶えて、

すでに十二時間が経過していた。

竹内たちのグループは、

神崎が精製した「AAAランク」の資産家名簿と

防犯データを買い取り、

それを元に日本国内の「使い捨ての若者たち」へ

強盗の指示を出していた。


明日も 19:20 に、投稿します。

よろしくお願いいたします。

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