62. 決着
――5日目――
容は天贖の寝室で目覚めた。布団の上で天贖の腕に頭を載せられ、寄り添い合っていた。
天贖は爪が鋭く、自分を傷つけながらも食事を摂り風呂も入る。だが、容のこととなると、何も手出しできなくなるらしい。お互いの寝衣に血が滲んでおり、容は笑ってしまった。
泣いて喚いたためか、爽快な気分だった。
それに――わかった。天贖は殺せない。どんなに憎らしくても。
例え狂化の果てに天贖が獣になったとしても、離さない。
ならば、自分はどうすべきだろう。義兄のことを、許すのか。その答えを、これから見つけなければならない。
寝たままの体勢で、至近距離にある天贖の頬に指先で触れた。起きないようにそっと触れたのだが、天贖はゆっくりと瞼を開けた。
起きてすぐ、目の前にいる容を見て、今の天贖はどう思うだろうと容はふと考える。
彼はただ、愛おしそうに目を細めた。
容は泣きそうになりながら笑顔を返した。
目を擦って、上半身を起こし、伸びをする。
「天贖様、一緒にお風呂に入りましょう。洗ってあげます」
眠たげな天贖が重そうに返事をした。
「……それは止めておく」
ならばこちらは脅して言うことを聞かせるまでだ。
「一緒に入ってくれなきゃ、このはだけた状態で、屋敷中を歩き回ります」
「それは、よしてくれ……お前のそのような姿は誰にも見せたくない」
「じゃ、入れますよね。さあ、行きましょう」
天贖は仕方なさそうに頷いて、容に従った。
風呂に入ってすぐに、容は肩の噛まれた痕が湯で疼き、痛みに顔を歪めた。天贖はどうにもできず、ただ容に謝るばかりだった。
明日の7/19(日)21:05頃、大ジャンル「恋愛」小ジャンル「現実世界」へジャンル変更いたします。詳しくは活動報告をご覧ください。




