49. 妄執の女
――また、繋がったな――
「貴方は誰? 精霊?」
――山ノ神の息子との交わりで――
――変わったはず――
「私が? 何が?」
――力が増し、頭痛も楽になったろう――
「誰? 私は貴方のことが知りたい」
――何!? 逆に読まれるだと!?――
風の吹きすさぶ山中で、女が男と話している。容には見覚えのない男女だ。男は狩衣姿で、女の方は打掛を羽織っていた。
「500年に一度、山ノ神に選ばれし者――山ノ愛子が生まれる」
「そのような。伝説でござりましょう」
女が冷静に否定すると、男も同様に返した。
「俺達は、幼少時にその兆候があったのだ。伝説の通りにな。だから俺は、諦めぬ」
「兆候とは? 伝説の通り? そのために、炭となり消えようが構わないとでも!? わらわは、御子は、どうなりましょう!」
女は今にも泣きそうなほどに叫んだ。
「成功すれば島は変わる。俺はその希望を持っているのだ」
「違いまする。おまえ様は死に場所が欲しいのでござりましょう。わらわがそばにおりますのに、なぜいつもそのようにお考えになられるのですか! ――わらわはおまえ様を止める権利がございます。わらわだけが、その権利があるということをお忘れではありますまい!」
女の震える叫び声に、男は俯いた。
「後見人の権利と言って縛るのか。お前が一番俺を貶める」
「わらわはおまえ様に死んで欲しゅうない……」
身を伏して泣く女の背中を男は優しく撫でた。
「それでも……俺は……」
「だから申したのです! 対珠をひとつにはできなかった! 弟御は消え! おまえ様も消えた!」
女が空を仰いで吠える。
「500年後、おまえ様に会えるまで、山王司の対が現れるまで、わらわは何人もの女を殺して生き長らえましょうぞ!」




