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ソウタはアキラ達からの連絡を受け三和市の端の方に来ていた。


探索者登録のための講習については時間があったとこもあり、無事に完了して探索者登録することができた。

講習といってもほとんど座学がメインで探索者を目指していたソウタにとってはそこまで目新しいことはなかった。

自動車免許取得の講習とかと似たようなものだ。

しかし、何回かはダンジョン内での講習もあり、ソウタにとっては初めてのダンジョンなのでそれなりに楽しめたのだった。


ソウタは待ち合わせ場所でアキラ達と合流し、そこから更に街の外の方へと歩いていた。

最初はあった住宅街なども減り、どんどんと人気のないような方向へと向かっていく。

ソウタは流石に不安になり、を歩いているアキラ達を呼び止める。


「えっと、随分と街の外の方に行きますけど、どこに向かってるんですか?」


「ん?家に向かってるって言わなかったっけ」


「いやいや、言いましたけどそれでなんで外に向かってるのかなと思いまして・・・」


「なんでってそりゃ外に家があるからだよ」


アキラの言葉を聞いて驚いて歩みを止めるソウタ。

ミズキの方を見るが、彼女も逆に不思議そうな顔をしてソウタを見返した。


「あれ、言ってなかったっけ?」


アキラの言葉に驚くソウタ。


「聞いてないですよ!前に聞いたときはなんかはぐらかされましたし」


アキラはそれを聞いて、あーと何かを思い出したようだ。


「あの時はまだ家を用意してなかったからなぁ」


「いやいや危ないでしょ?普通にモンスターとか彷徨いてるんでしょ?」


ソウタは今まで生きてきて管理区画外に出たことがなかった。

特に出る必要もなかったし、テレビでは良く管理区画外に出て行方不明になったというニュースが流れている。

ダンジョン内よりも危険と言われているほどなのだ。

それも当たり前である。


アキラ達はソウタの態度を見て、改めて今から行く場所についての説明をした。

どうやら管理区画外の比較的キレイで使えそうな家を拝借して住めるように整えたらしい。

管理区画外の家屋などはすでに放棄された扱いで持ち主はいないことになっているので大丈夫らしい。


「なんでわざわざ外に住むんですか!?街の中に住みましょうよ!?」


「そらダンジョンに行くのに便利だし、それに俺ら街で部屋借りれないしな」


アキラはソウタに自分たちの境遇について説明する。

主には身分証がなくて不便だという話や、普段は管理外ダンジョンに潜っているという話だ。


「アキラさん達が胡散臭い理由が少しわかった気がします・・・」


ソウタとしてもアキラ達の話を聞き、いろいろと気になることはあったし、本当に彼らに付いていっていいのかが頭によぎった。

しかしアキラ達には大きな恩があるし、少なくとも悪い人たちではないと思い直す。


「はぁ、まぁわかりましたよ。とりあえず俺は安全なんですよね?一応それだけは教えてもらえます?」


「もちろん。危険なことなんてないから安心してよ」


ソウタは、そう言って微笑むミズキを見て安心するのだった。


ちなみにその後すぐに、目的地まで徒歩で4時間以上かかると聞いて、ソウタは再度この人達は本当に大丈夫なのだろうかと悩んだのであった。


◇ 


アキラ達とソウタの3人は三和市を出て、比較的瓦礫の少ない道をのんびりと歩いていた。

道の両側はまだ原型を残す建物が残っており、それが視界を遮ってモンスターの接近を察知しにくい。

俺は道の真ん中を進み、アキラさん達2人は俺を挟むように両側を少し離れて歩いていた。


「ええと・・・、ちょっと聞いていいですか・・・?」


俺がアキラさんの方を向いて話しかけると、アキラさんはこちら向いて返事をする。


「どうした?」


「あー、えーっと」


俺が言葉をひねり出していると、アキラさんの後方の瓦礫の影から狼のようなモンスターが飛び出してきた。


「ア、アキ―――」


モンスターのあまりにも素早い動きに、俺はまともに忠告することすらできなかった。

しかし、アキラさんはちらりと後ろを見ると同時に身をずらし、モンスターとすれ違いざまに剣を振るった。

ドサリと上下に別れたモンスターの体が地面に落ちる。


「ああ、すまんな。それで?」


アキラさんは俺に話しかけながら、落ちたモンスターに近づき体内から魔石を素早く抜き取った。

さらに何もない虚空に水の玉を生成して、その魔石を洗ったあと、袋にしまい込む。


俺はその一連の動作が終わるまで目が話せなかった。


「ええーっと、その・・・。そのモンスターってあんまり強くないモンスターなんですかね?」


先ほどのモンスターの動きから見ても、自分なら反応もできずに餌になっていた可能性は高い。

弱いわけは無いと思うが、しかしここまでにも同じようなモンスターが何度も襲ってきていた。

アキラとミズキはその全てをまったく意に介さず倒してきたのだ。

実はダンジョンではこんなモンスターがゴロゴロと出てくるのではないかと、ソウタは不安になった。


「こいつ?ああ、まぁ強くはないな。ダンジョンで言うと・・・、大体7、8階層くらいのモンスターか?」


「たぶんそうじゃないかなぁ?」


アキラの言葉にミズキものんびりと頷く。


7、8階層といえば、それなりにダンジョンの高階層である。

かなりベテランの探索者が探索する深さであり、普通はそう簡単に倒せるものではないのだろうと思う。


トップレベルの探索者でも10階層程度が探索の限度らしい。

自衛隊が重火器に頼った場合はもっと深い階層に潜れるらしいが、一般にはそういった銃器が使用できないためそこが限界だ。


ソウタは今まで、アキラ達のことを必要以上に聞かないようにしてきた。

ソウタは彼らにはなにか秘密があるような雰囲気を感じていたし、それを彼ら自身あまり話そうとしていなかったからだ。

もちろん怪しくはあったが、恩人であり、かつ少なくとも悪い人たちではないと感じていたためそこまで追求はしてこなかったのだ。


しかし、今後はアキラ達のことについてもっとしっかりと聞く必要があるとソウタは考えていた。


「えーと、さっきの水玉はどうやったんですか・・・?」


「水玉?ああ、あれはただのスキルだな。こっちにもそういったスキルとかあるだろ?」


ソウタもダンジョンのスキルについてはそこまで詳しくはない。

知識としてはどのようなスキルが存在するかはある程度知っているが全てではないし、実際にそれがどのようなものなのかはあまりはっきりとした情報がなかったのだ。

こっちというのもどこの事かよく分からなかったが、しかしそこは今は問題ではない。問題はダンジョン外でスキルを使用していることだ。


「スキルってダンジョンの中でしか使えないんじゃないですか?」


ソウタの問に、アキラはああ、と気がついたように頷く。


「それはちゃんとスキルを習得していないからだと思うぞ。まぁそこら辺がソウタに実験に付き合ってもらいたいことなんだがな」


ソウタは初めて聞く自身の役割について驚く。

一般的にはスキルとはダンジョン内でのみ使用できる力だ。ネットでもそのような情報は見たことがなかった。

それは確かに迂闊には話せないことだなと妙に納得してしまうソウタであった。


「まぁ気になるだろうがそれははまた今度にしよう。あまり留まっているとモンスターが寄ってきて面倒だからな」


そう言ってアキラが視線をミズキの方に向ける。

ソウタもつられてそちらを見ると、彼女は空から襲ってきた大きな鳥型のモンスターに雷のようなものを発していた。

当然相手は死ぬ。

ミズキは落ちてくるモンスターに合わせて剣を振り抜き、さらに突きを放つ。

するとモンスターの体内にあるはずの魔石が空中に弾かれ、華麗にミズキの手の中に収まった。


「遊び過ぎだ」


それを見てアキラが呆れたように呟いた。


ソウタはあらためてアキラ達に常識が通用しないことを深く理解したのだった。

もうちょっとで書き溜め分がなくなってしまう・・・

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