-- 3 --
基本的に地名などは架空のものにする予定です。
アキラ達2人は管理区画の街を訪れていた。
どうもこの街は三和市と呼ばれ、かつての兵庫県に位置するようである。
とはいえすでに県境も曖昧になり、かつての地名は消え去ったものも多いようだ。
街に入る際には買取屋の言うように特に身分証の提示などは求められずに入ることができた。
念のため腰の剣は袋にしまっていたのも良かったのか、警備らしき男にいくつか質問されたくらいだ。
それには買取屋に聞いたことを回答することで問題なく通してもらえた。
街の様子は、アキラ達が知っている日本とそう違いはなかったが、都市の規模に比べて若干田舎のような雰囲気を感じた。
そこまで高い建物の存在しないし、かつては寂れていた商店街なども活気を持っているようだ。
「なんか進化してるものもあれば、退化してるものもあるなぁ」
ミズキが言うように、アキラ達がいたときでさえなかなか見なくなったラジオが店頭に置かれていることも結構あった。
自国で全てを賄わないといけないため、なんでもかんでも最新機器を使用することができなくなったんだろう。
「まぁとりあえずはレストランだよ」
そう言って目に止まった街の洋食屋さんといった雰囲気の店のドアを開ける。
チリンチリンとドアベルがなって、いらっしゃいませという店員さんの声が聞こえた。
混むような時間帯ではなかったためか、中にはほとんど客はいなかった。
人数を聞かれて2人だと答え、案内された席に着く。
メニューは印刷ではなく手書きのようだ。思ったよりもメニューは少ないが、目的のものは食べれそうだとミズキは安心した。
「まずはハンバーグかなぁ。向こうでも同じような料理はあったけど、味付けがいまいちだったんだよねぇ」
「まぁ味にこだわる余裕がなかっただろうしな」
向こうでは旨い料理もないではなかったが、素材の味で勝負する感じが多かった。
きちんと味付けがされた料理もあったが、どちらかというと高級志向でお上品な内容であり、ミズキの舌には合わなかったようだ。
「ちゃんと米もあるようだな」
「それがないと始まらないよー」
値段は結構高いような気がする。
しかし、2人にとって金額は気にするようなことではない。持っている金のうちの大部分を使うが、こっちにもダンジョンはあるようだし問題なく稼ぐことができるだろう。
凄腕の探索者だった2人は、向こうでは金は使い切れないほど持っていた。
2人とも稼いだ金を使うことよりもダンジョンに潜ることのほうが優先度が高かっただけでもあるが。
アキラ達はとりあえず気になる料理頼むと、しばらくして店員が料理を持ってきた。
「おお、うまそうだ」
「では、さっそくいただきまーす」
その日2人は満足するまで食事を堪能し、適当なホテルを取ってのんびりと過ごしたのであった。
◇
アキラとミズキが日本に帰ってきた日から一週間後、2人は管理区画外にある国に管理されていないダンジョンに潜っていた。
最初は管理区画外にいるモンスターを狩って魔石を得ていたが、それでは効率が悪いと考えダンジョンに潜ることにしたのだ。
ダンジョンに潜り始めて今日で4日目になる。
「やっぱり向こうのダンジョンと変わらないみたいだね」
「ああ、そうみたいだな」
ダンジョンは地上から洞窟のような穴を通って地下に生成されている。
下層に進むに連れてダンジョン内の空間は広くなり、大型のモンスターが現れる傾向が強くなる。
ダンジョンの天井や壁には光る石が埋め込まれており、視界にこまることはない。
ここまではどのダンジョンでも共通していることだ。
しかしダンジョン内の環境についてはダンジョンにより異なり、草木が生い茂っている見通しの良い空間であることもあれば、遺跡のような廃墟になっていることもある。
単純に広い鍾乳洞のような洞窟になっている場合もある。
アキラ達が入ったダンジョンは、木が多く生えた森のようなダンジョンになっていた。
ミズキが木の陰から飛びかかってきた獣型のモンスターを自身の剣で切り上げる。
そのモンスターは地面に倒れこむと空気に溶けるよう実体が薄れていった。
地面に血の跡はなく、かわりに液体の入った小瓶が残っていた。
「モンスターがドロップするアイテムも向こうと似たようなものだな」
「ダンジョンストアの品揃えはちょっとちがってたけどね」
ダンジョン内のモンスターは、基本的に魔力で構成された生物だ。
とはいえ物理的な実体はあり、剣などの物理攻撃でも倒すことができる。
また、モンスターを倒すとアイテムをドロップするのはダンジョン内のみだ。
これはモンスターがアイテムを落とすのではなく、ダンジョンがモンスター討伐の報酬としてアイテムを落としている、というのが向こうでは一般的な認識であった。
またダンジョン内でモンスターを倒すとDPというものを獲得することができ、それを使ってダンジョン内の台座でアイテムを購入することができる。
最初のうちは20階層くらいの標準ドロップ品を件の買い取り屋に持っていっていた。
買取屋も喜んで買い取ってくれていたんだが、それが3回目には拒否された。理由を聞くとどうも価値が高すぎるということだった。
そんなアイテムを何個も扱ってたら国に目をつけられるし、そもそも支払いができないとのことだ。
しかし、最初の2回売ったときはそんなにもらっていない。それじゃあ2回目まではどうしたんだと聞くと、正直にぼったっくてたと言って謝ってきた。
まぁきちんとぼったくってた分は返してもらったし、いろいろと新しい情報を聞けたから問題ない。
なので2人は別にダンジョンに潜らなくても今は金があるのだが、かといってやることもそんなになく、2人は日本に帰ってきてもダンジョンに潜っていたのだった。
「しかし日本のトップクラスの探索者でも10階層程度、自衛隊でも15階層程度までしか行ってないって、そらダンジョンも放置するわな」
「でもこのままじゃやばいよねぇ。いずれ管理ダンジョンも管理できなくなるんじゃないかなぁ」
ダンジョン内のモンスターは基本的にダンジョン外に出てくることはないが、例外としてダンジョン内のモンスターが増えすぎたとときにはモンスターがダンジョン外へ溢れ出ることがある。
スタンピードと呼ばれる現象だが、今もダンジョン外に生息しているモンスターの大部分はこれによって溢れたモンスターだろう。
ダンジョンが何階層まであるかは、正直向こうでもわかっていなかった。
向こうでは80階層以上あることは確認されていたし、こちらでもアキラたちがすでに30階層までは確認している。
少なくとも30階層程度で終わるということは無いだろう。
「うーん、せっかく帰ってきたし日本がなくなったりしたら困るなぁ」
「無いとは言えないのがなんとも・・・。まぁとりあえず自衛隊とかのダンジョン攻略について調べてみるか・・・」




