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-- とある自衛官 --
「それではダンジョンのスキルは、3つだけでなく本来いくらでも習得できるものであると・・・?」
「はい」
「基礎スキルさえ習得すれば、理論上は全てのスキルを再現できる・・・?」
「そのはずです」
「しかもそれはダンジョン外でも使用できるようになると・・・?」
「はい」
私はこの若い2人の探索者から聞いた内容について、嘗て無いほどの衝撃を受けた。
あまりのショックで聞いた情報をすぐに頭の中で理解ができない状態に陥っていたほどだ。
それは他のメンバーも同じようで、見渡すと未だ唖然とした表情が広がっている。
ソウタ君とアヤネ君はそれを見ながらも、こちらが落ち着いて情報を認識できるまで待ってくれていた。
「・・・それでは、今ここでなにか実演して見せてくれと言ったら、できたりはするのかね?」
ソウタ君はその言葉に迷いなく頷きこちらへ確認してくる。
「そうですね・・・。部屋の中なので水を出すとかでもいいですか?」
「ああ・・・、その程度であれば大丈夫だよ・・・」
そう言って周囲のものにテーブルの上のものを退かすように指示すると、ソウタ君は片手を前に出す。
即座に彼の手の上の宙に、人間の頭ほどの大きさの水玉が発生した。
「「「!?」」」
しばらくは誰も声を発せず、皆ひたすらにその水玉を注視することとなった。
「そろそろいいですか・・・?」
ソウタ君の言葉に、皆は我に返ったような表情となる。
「あ、ああ・・・。ちなみに何か他にできることとかあるかね?」
「ええ。部屋の中で使えるやつか・・・。それじゃあアヤネ、アレやってくれるか?アレのほうがわかりやすいだろ」
ソウタ君はそういいつつ、手の上に出している水の玉を消失させる。
「うん、良いよ」
アヤネ君にはどうやらアレで伝わったようで、これまではどちらかといえば聞き役に徹していた彼女が椅子から立ち上がり、少しテーブルから離れた位置で静止する。
皆からはアヤネ君の全身が見える位置だ。
「それじゃあおいでー」
その言葉の後すぐ、アヤネくんの足元から真っ黒い子猫のような物体が立ち上がり、ヒョイと重さを知らない動作でテーブルの上に飛び上がる。
トコトコとテーブルの中央までゆっくりと進んだそれは、本物の猫のように後ろ足を畳んで座った。
「かわいいー!」
やまねこ隊のサクラ君が現れたクロネコに夢中になる。
それでもどう扱ったら良いのか分からずに触ることはしていないようだ。
「これは・・・、見たこと無いスキルだな・・・」
「すげえなこりゃ・・・」
「まさか本当とは・・・」
各々暫くはアヤネくんが出したクロネコを観察したり、スキルについて質問をしたりの時間となった。
その後、アヤネくんがクロネコを消し去り、残念がるサクラ君を横目に話を進める。
「それでは君たちは複数のスキルを使いこなして探索しているということかい?」
「はい」
「なるほど」
スキルについての新しい知識を得られたことは非常に喜ばしいことだ。
これを活用できれば、今まで管理できていなかったダンジョンについても今後状況が変化するかもしれない。
とはいえダンジョン外でスキルを使えるようになるということはそう単純な話ではない。
場合によってはそれを使った犯罪などが発生することを考えないといけない。
ただし実際には習得にもそれなりの時間と労力が必要という話であり、聞く限りにおいてはベテランの探索者以外での習得も難しそうだ。
現状では市民にとってはそこまで明確な脅威とはならないだろうと思われる。
「このことは他に誰かに伝えたりはしたのかい?」
そう聞くと、ソウタ君は少し言いにくそうに自身の投稿動画について説明した。
どうやら探索者への知識の共有のために動画を作成して投稿したようである。
内容を確認すると、幸いにもダンジョン外でのスキル使用についてまでは言及できていないようであるし、そもそも再生数も3桁にも達していない。
今回は動画の再生数が伸びていないことに感謝をしないといけないだろう。
とりあえず一般に公開するにしてもタイミングを考えないといけない。
とはいえこれ以上は私の判断で決めることはできないため、一旦持ち帰り専門家などに検討してもらうことなるだろう。
ソウタ君とアヤネ君にそれを伝えて、動画を許可が出るまで非公開にしてもらうことを了承してもらった。
彼らにとっては最終的に探索者の質が高まれば良いとのこと。
そちらに関してはもちろんこちらで全力を尽くすという約束をする。
今日はスキルだけでなく、その他もいろいろと興味深い話を聞くことができ、非常に有用な話ができた。
話を聞いて気になることもいろいろとあるが、それはおいおい彼らとの信頼関係を築きつつ解決していけばよいだろう。
私はまた近いうちに連絡することをソウタ君とアヤネ君に約束し、今回はお開きとすることにしたのであった。
平日の更新が厳しいかも・・・




