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先ほどの探索者の4人と別れたソウタ達は、彼らの言いつけを守らず目的のモンスターハウスの方へと向かっていた。

ソウタ達にとってこの7階層というのはもはや危険な階層ではなく、ウォーミングアップ程度のものでしかない。

この程度の階層であれば、たとえモンスターハウスに放り込まれても、イレギュラーなモンスターが発生したとしても対応できるだけの実力が今のソウタたちには備わっていた。

アキラ達にもモンスターハウスは可能なら処理するように言われているため、この階層のモンスターハウスであれば避ける理由はなかった。

2人はアヤネの探知した方へと向かっていった。


「なんかさっきの人達っぽいのがこっちに向かってきてるみたいだよ?」


アヤネがふと後ろに振り向き呟く。


「さっきのってあの4人組か?」


「そうそう」


「どうしたんだろうな?外に出て管理局に伝えるって言ってたけど」


「もしかして私達が戻ってなかったから探しに来たんじゃない?」


「あー、その可能性はあるな・・・」


ソウタ達はその若さから、ときおりダンジョンで会った探索者にいろいろと注意をされることがあるのだ。

別に間違っていることをしているつもりはないし、実際に問題が起きたことは今のところないのだが、他の探索者にしたら明らかに新人のような若さのソウタ達が心配なのだろう。

ソウタ達も彼らが善意で注意してくれているのがわかっているため、特に反発することはないのだが、ときおり面倒だと思ってしまうこともある。


普段ならさっさと逃げたりもするのだが、今はこの階層は危険であるし、もしかしたら危険を承知でソウタ達を心配して戻ってきてくれているのかもしれない。

それにソウタ達はモンスターハウスについても放置するつもりはなかった。


「とりあえずさっさと向かうか。ぱぱっと処理してしまえば文句も言われないだろ」


そう言って2人は急ぎ気味でモンスターハウスの方向へ向かっていったのだった。



-- 白井 咲良 --


「ちょっと!あの子達モンスターハウスの方に向かってるんじゃない!?」


カナエが焦ったように小声で呟く。

カナエが魔力探知スキルで確認したところ、2つの反応が奥に向かっていることがわかったからだ。


それを聞いて他の皆も焦ったような表情となる。


「おいおい、流石にそれは無茶じゃないか?」


「どうする・・・?急げばすぐに追いつくと思うが・・・」


「皆が良いなら連れ戻したいんだけど・・・」


私は皆に確認して、皆も問題ないと私の意見に賛成してくれた。

私達は急いで2人の後を追いかけることにした。

しかしすぐに追いつくと思っていた2人の姿が全く捉えられない。


「おい、全然追いつかないぞ・・・」


「今はどうだ?」


タツアキがカナエに探知状況を確認する。

しかしカナエは首を振るのみだ。

今はカナエの魔力感知スキルを常時発動して追いかけている。

モンスターも探知しながらの移動なので、通常時よりはかなり速めに移動している。

考えられるのは、先ほどカナエが探知したものが間違いだったか、件の2人がこちらから逃げているかのどちらかだ。


カナエに確認すると、すくなくとも人の反応だったということだ。

ということはこちらから逃げている可能性が高い。


「どうする・・・?本当にハウスのほうに向かってるならこれ以上は危険だぞ?」


「それはそうだけど・・・」


もし彼らがモンスターハウスに突入してモンスターの群れを刺激した場合、この階層にモンスターが溢れ返る可能性がある。

私が逡巡していると、リーダーのタツアキがカナエに確認する。


「ここからはモンスターハウスの状況は確認できないんだよな?」


「ええ、まだここからは無理」


カナエの探知範囲は最大でもダンジョンの1部屋分くらいしかない。だからこそ急げばすぐに追いつけるはずだったのだけど・・・


「モンスターが溢れてきてる感じもないんだよな?」


その質問にカナエは頷いた。

それを見てなるほどとタツアキが頷く。


「わかった。俺も気にはなるからな。行けるとこまで行こう」


「ったく。迷惑をかけさせやがって」


「まぁ皆がいいなら私は異論はないけどね」


「みんな・・・」


私は皆が2人を追いかけることに了承してくれたことに感謝をする。

一歩間違えばほんとうに危険な状況なのだ。

私達はできるだけ急いでモンスターハウスの方へと向かっていった。



「もうそろそろだな・・・」


「結局追いつけなかったね・・・」


私達はモンスターハウスの直前まで来ていた。

ダンジョンは一直線ではないため、場合によっては別の道に入った可能性はないではない。

それならそれでモンスターハウスに向かうよりは安全だ。

とはいえここに来るまでそこまで分岐点はなかったし、少なくともカナエの探知には引っかからなかった。


「あの2人は探知できたか?」


「まだ。でもモンスターが溢れ出している気配もないわ」


「流石に中を見て入り口で踏みとどまったか?」


「あるいは、すでにやられているかだが・・・」


タツアキの言葉に私は目を伏せる。

タツアキもなにも意地悪でそういうことを言っているわけではない。

探索者を続けていると同業者がダンジョンで死ぬことは割とよくあることだ。

私が取り乱さないように事前に覚悟する時間を与えてくれているのだ。


「とりあえず可能な限り近づくぞ。カナエはそのまま探知を続けてくれ」


タツアキの言葉で皆が集中し、モンスターハウスへと近づいていく。

カナエがモンスターハウス内を探知できるほどまで近づいたとき、カナエが間抜けな声を上げた。


「え・・・?」


「どうした?」


「いや・・・、えっと。なんか・・・」


「だからどうした?」


カナエの要領を得ない態度に少し語気を強めるタツアキ。


「なんか中のモンスターがどんどん減ってるんだけど・・・」


その言葉に私を含めカナエ以外のメンバーは顔を見合わせる。

その後すぐにモンスターハウスに到達した私達は、ものすごい勢いでモンスターを駆逐していく2人を見て唖然とするのであった。

ストーリー上説明するタイミングがありませんでしたが、魔力探知スキルは魔力感知スキルとは別のものです。

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