武闘大会編1
着いたのは、城だった。
多くの手続きと複雑な廊下を経て、大きな扉に辿り着いた。
そこには、騎士らしき人達と、平民らしき人達が並んでいた。
バンッ
「この偽者が!出ていけ!」
扉が開き、騎士と平民の組が叩き出された。
「次じゃ!」
次の組が入っていく。
「この痴れ者が!シュウはお前のような男ではない!」
「し、しかし姫様!この者は自身をシュウと!」
「は、はい、その通りです皇女殿下!私はシュウ・クリームと申します」
「冗談のような名前しおって!出ていけ!」
すぐに出てきた。
すぐに次の組が入っていく。
しばらくして、集達の番が来た。
「妾は気が立っておるのじゃ!はよ入れ!」
「は!」
扉の向こうでは、シャンデリアの下の大きな椅子で、豪華な衣装に身を包んだ美少女が足を組んでいた。
少女は、集の顔を見ると、目を見開いて口をパクパクさせる。
「あ、お、し、シュウ!」
「………誰だっけ」
集は、何かを思い出しそうな顔をして額を指で押さえる。
「そう、そうじゃ、あの美少女じゃ。思い出すのじゃ」
「ああ、あの時の」
「そうじゃ!妾はクロエ!この国の皇女じゃ!」
クロエは、瞳を輝かせて集に抱きつく。
「姫様?!」
隣の男が驚き、そのことでクロエに存在を認識された。
「ソナタがシュウを連れてきたのじゃな?よし、ソナタを第二級騎士に昇格させてやる。分かったらとっとと去れ」
「あ、あ、有り難き幸せ!」
騎士が去ると、クロエは集から離れ、真剣な眼差しで集を見つめる。
「シュウ、ソナタには、我が国が開催する武闘大会に参加して欲しいのじゃ」
「うーん、断る」
「ま、待つのじゃ。決断を急ぐでない。入れ!」
「はっ!」
ボイン、ボイン
大きな胸の女性が入ってきた。
集は自然とその大きな胸に視線が引き寄せられる。
「そこで優勝すれば、この者の胸を好きにして良いぞ?ほれ、どうじゃ?ボインボイン」
「ふんっ、巨乳に興味はない」
「なっ!」
クロエは愕然とした。
男とは、女性の胸が大好物なのではないのか。
これでおちなかった男はいない。
それを……鼻で笑った?
馬鹿な。ありえない。想定外にも程がある。
「で、では、妾の胸はどうじゃ?こう、寄せれば、ちょっとは膨らんでおる………じゃろ?」
クロエは頬を染め、斜め下の方を見ながら、自身のささやかな胸を主張する。
これが断られることなど、分かっている。
これはただの時間稼ぎに過ぎない
「…………なん、だと」
集は僅かに目を見開く。
目が泳いでおり、見るからに動揺している。
「くっ………俺はロリコンなんかじゃ………くそっ………」
集はしばし脂汗を浮かべながらなにやら葛藤し、悔しそうに膝をついた。
「………話を聞こう」
「なんじゃと!」
∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈
明るい紫色の髪で、泣き黒子が少し色っぽい美少女。
受付嬢、エルナ。
「わあ、素晴らしいですね!僅か1年でランクDだなんて!」
彼女は、見た目の割に子供っぽい性格がギャップとして評価され、ギルド内で絶大な人気を博する。
そんな彼女は、とある冒険者と親しくなりつつあった。
「オレ、エルビオン武闘大会に出るんだ」
話しかけたのは、長めの金髪で、逞しい肉体を持つ青年、ヴァン。
彼はギルドの登録時からエルナに世話になっており、最近、彼女に対する想いを徐々に明らかにしつつある。
エルナからすれば、ヴァンはなかなかの優良物件だった。
顔はいまいちだが、冒険者によくいる乱暴な輩ではなく、それに、ものすごく強い。
それに、薄々ではあるが、自分に好意を持ってくれていることを感じている。
「応援、来てくれ」
ヴァンは登録からたったの一ヶ月でランクBに上り詰めた。
これは異様なことであり、エルナを大いに興奮させた。
彼はエルナからの好感度がある程度高いことを自覚しており、今回の武闘大会での勇姿を見せつけることで、それを跳ね上げさせようとしている。
「それじゃ」
ヴァンが去っていく。
やはり、彼が一番の優良物件だろうとエルナは考察する。
他にも、めっぽう強いが、性格が乱暴な冒険者、レオ。
優しいが、デブで不細工な、マルマン。
顔は断トツ一番で性格も穏やかなのだが、如何せん虚弱な、シュウという新人冒険者が頭に浮かぶが、すぐに消える。
「応援、行かなくちゃ」
エルナは、ヴァンの活躍に、期待を膨らませる。




