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天使編4

 バハムートゼロが氷の大陸に足をつき、羽を休める。

 側には、3体の巨大なモンスター。


 様々な原始が集まりだす。

 原始は分子となり、粒子となり、細胞となり、1つの体を構成する。

 体が構成され、今度は服が構成されていく。

 安っぽい服やズボンが構成され、集は目を開く。


 成功した。

 ――禁呪《大いなる帰還(オシリスレベル)》。

 死者蘇生の禁断の魔法。


 バハムートゼロは集に気づいていない。

 いち早く集に気づいたのは、3体の巨大なモンスター。

 氷を削りながら集に迫る。


「《種族名鑑定(ネーミング)》」


 ――フェンリル


 白銀の毛並みをもつ、狼のようなモンスター。


 ――バジリスク


 真っ赤なニワトリ。


 ――光騎ペガサスレイン


 これが一番強そう。

 6枚の白い翼を生やし、天使と同じような光の輪を頭の上に浮かべた白馬。


 集は白い大地に降り立つ。


「《エクスカリバー》」


 集の背中に生えた、漆黒の翼が消え失せる。

 集は氷の大地に手をあて、《エクスカリバー》を引き抜く。

 目映い光の柱が天まで昇る。

 光の柱は小さくなり、光の渦となる。

 純白の光がほとんどを占め、緋色の光や黄金の光、漆黒の闇が混ざっている。

 光の渦のせいで剣自体が見えない。


 それを軽く一振り。

 ぶぅぅんという音と共に、何キロメートルか、空間に漆黒の断層が出来る。

 断層は3体の体の真ん中を貫通している。

 その闇のような断層に、周りのものが吸い込まれる。

 3体の体も、断層に近いところから分解されて吸い込まれていく。

 数秒の後、断層は消える。

 3体の体は欠片も残っていない。


 《エクスカリバー》を出しているとき、集は魔法が使えないので、一旦、《エクスカリバー》を手放し、《戯れの堕天使(ロストルシファー)》でバハムートゼロに迫る。


 バハムートゼロから放たれた灰色の奔流を大袈裟に避け、天空で《エクスカリバー》を出す。

 《戯れの堕天使(ロストルシファー)》は消え失せるので、自由落下に体を任せる。

 ほんの少しだけ出せる魔力を解放する。

 ぐんぐん加速し、バハムートゼロの首筋に《エクスカリバー》を叩きつける。

 氷の大地は真っ二つに割れ、漆黒の断層に吸い込まれて消えていく。


 《エクスカリバー》は漆黒の鱗にぐんぐんめり込むが、途中からめり込まなくなる。


「これでも、駄目なのか……」


 今度は【八岐大蛇】で空間ごと削り取るが、いかんせんその量が少なすぎる。

 この巨体を、こんなちびちび削っていても、いつまでかかるか分からない。


 《エクスカリバー》で切り込みを入れたところを【八岐大蛇】で削り取っていると、ほのかに赤みを帯びた金属のようなところで切り込みが終わっていた。

 この層が硬いのだろう。

【八岐大蛇】でも削り取れない。


「ああ、くそっ」


 灰色の奔流に飲み込まれ、集の体は再び原始レベルに分解された。


∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈∈



 大陸最西端の超大国、オストロン王国。

 最後の砦。

 そこには、様々な種族がひしめきあっていた。

 西側の海からは、大型の船が多くの人を乗せて出航している。

 ただ、この辺の海では、クラーケンというイカのような化け物がうようよしているので、恐らく皆死ぬだろう。


 東側でペガサスや天使の襲撃に備えている戦士達は、この大陸の様々な国の最高の装備を備えている。


 まず皆が腰にさげているのは、逃げてきたラルタン帝国の研究者が作り方を指示した、超兵器、魔法銃。


 次に皆がポケットに入れているのは、エルフの国、神聖シャンメリルの者達が持ってきた、どんな傷もたちまち治すといわれる神薬、エリクサー。


 手に持つ剣は、ドワーフの国、ガライシュの者達が献上した魔剣や聖剣。


 そして戦士自身も、様々な国の一流の戦士達。


「来たぞ」


 遠くに、ぽつぽつと天使やペガサスが見え始めた。

 ぞろぞろと近づいてくる神話のような大軍に、屈強な戦士達も動揺する。

 一定の距離をあけ、人類と天使、ペガサスの連合は対峙する。


 天使とペガサスが道を空け、8枚の翼を持つ美しい女性の天使が出てくる。


「虫けら共、家畜として生き残るか、死ぬか。選択肢を与えるでありんす」


 美しい声は、この大陸の全人類に届いた。

 静寂が支配する。


「我ら人類は、貴様らの家畜になどならん!」


 答えたのは、オストロン王国の現国王にして、屈強な戦士、アドルフ・ハプスバード。


 ユリエルは口の端を吊り上げ、殲滅を開始する。


「やれ」


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