第九話 加美家の日常
ーそのいちー
澄香が学校から帰ると、家にいとこのコタローが遊びに来ていた。
彼は文香と同じ小学4年生。そんなコタローを文香は「むー!」と不機嫌そうな顔で睨みつけている。そんなことはお構いなしに帰って来た澄香に「おかえりなさい、澄香姉ちゃん」と挨拶をするコタロー。
「あ、いらっしゃい、コタロー君」笑顔で答える澄香に、ますます「むー!」となる文香。
「お姉ちゃん、足!」と、不機嫌爆発で、ぶっきらぼうに言われ、「わかってるわよ」と呆れな顔の澄香。お風呂へ向かおうとすると、澄香と文香の間にコタローが割って入り、
「澄香姉ちゃん、ちょっと話があるんだけどいいかな?」と尋ねる。
「いいよ。じゃあ部屋にいこっか」
そう言って2階の部屋に向かっていく二人を見て、「きー!」となる文香だった。
部屋につき、ベッドに腰掛けコタローに優しく尋ねる。
「それでコタロー君、お話って何かな?」
「澄香姉ちゃんの足見せて?」
爽やかな笑顔でとんでもない予想外の言葉を放ったコタローに、一瞬何を言っているのか分からなくなる澄香。そしてすぐ顔を真っ赤にして、
「ムリムリムリ! あたしの足臭いし、汚いし!」
両手を振り当然の拒否をするがコタローは爽やかな笑顔を崩さず、
「うん、知ってる」
「ならよかった…じゃなくて!」
抵抗虚しく澄香はコタローにベッドの上に転がされ、靴下をするりと脱がされ裸足の臭いを嗅がれる。
「ふふ、臭いね」
「そんなはっきり言わなくても…」
「大丈夫だよ。ボクがキレイにしてあげるから」
そう言うと躊躇いもなく澄香のムレムレ裸足を舐め始める。澄香は「あ…は…!」とえっちな声をあげる。
「気持ちいい?」
「いや…違くて…」
「気持ちいいの?」
「はい…気持ちいいです…」
耳まで真っ赤にして陥落してしまう澄香であった。
ーそのにー
外から帰ってきた文香。
「ただいまー! 今日のおやつは抹茶プリンー!」
靴を脱ぎ捨てウキウキ気分で冷蔵庫へ向かうが、その中から出ていく前には確かにあった抹茶プリンが忽然と消えていたのである。
文香はリビングに居る澄香を睨みつけて叫ぶ。
「お姉ちゃん! あたしの抹茶プリン食べたでしょ!」
「食べてないわよ! 失礼ね!」憤慨する澄香。「大体ね! あんたは証拠もなしに疑いすぎなのよ! もっと姉を信用して…」
クドクドと言う澄香の足が少し動いたことを見逃さない文香の鷹の目。姉の足のその向こうに抹茶プリンの空容器がちらりと見えている!
文香は澄香を押し倒し、空容器を持って澄香の顔を帰ったばかりでムレムレホカホカの裸足で踏みつける。
「お姉ちゃん、これなぁに?」その目には鋭い眼光が宿る。まさに獲物を追い詰める鷹の目だ。
「ししし…知らない! あたしは何も知らない!」
「じゃあその手に持ってるスプーンはなぁに?」
「ここ…これは…あたしはなんでこんなものを…陰謀だ!」
そしてまた文香の目がギラリと光り、
「お姉ちゃん? 間違って食べたなら、言うことあるよね?」
「はいぃい…ごめんなさいぃぃ!」
あまりの迫力に妹に屈する姉なのだった。
ーそのさんー
澄香「今日はお母さんの妹の佐御弥美彩ちゃんが遊びにきております。美彩ちゃんはあたし達のいとこ、コタロー君のお母さんでもあります」
文香「コタローは敵です。でも美彩ちゃんのことは大好きです」
澄香「いや…なんで敵なの…仲良くしなさいよ」
文香「コタローはあたしの大好きなものを奪っていきます。だから敵です」
澄香(大好きな物?抹茶プリンか!)「おや、ここで二人は昔の思い出話!」
文香「昔、美彩ちゃんの抹茶プリンをお母さんが食べちゃった!?お母さん!それは許されません!」
澄香「しかしそれはドッキリだった!?アルバイトの初めてのお給料で山のように用意しておき、美彩ちゃんの前で食べてみせたと!」
文香「あたしの姉とは大違いです!」
澄香「…同じ妹なのになんであんたはそんな可愛げがないのよ…」
文香「あたしがお姉ちゃんの妹だからじゃない?」
澄香「あー…」
妙に納得する澄香。そして美彩の足を見て気づく。
澄香(美彩ちゃん…あなたもか…!)
ーそのよんー
「ふんふふ〜ん」鼻歌を歌いながら、上機嫌に洗濯をして居るお母さんの足元に黒いアイツが「やあ」と言わんばかりにちょろっと現れた。顔から血の気が引いていくお母さん。そして次の瞬間、
「きゃーーーーー!」
命の危機かと思わんばかりの大悲鳴。近くにあったモップを手にゴキちゃんと立ち向かう。
ゴキちゃんは華麗にお母さんの攻撃を避け、床や壁に傷をつけるばかり。
そこへスリッパを持った澄香が現れ呆れ顔でお母さんの暴走を見つめた後、ぱん!さっさ…スタスタと去っていった。




