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はだしまい  作者: MANAM


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第十話 ゆりあしの原点

ある日の学校。澄香は休み時間にスマホをいじっていた。後ろからゆりえが「何見てんの?」と覗き込む。


「うん、最近物入りで…バイトでもしよっかなって」


澄香は捨てられた靴下を買い直したり、文香に高級抹茶プリンを箱買いで返したりして金欠気味だった。


「ヌードモデル?」にしし、と笑いながら冗談っぽく言うゆりえに、「そんなバイトが載ってるわけあるかい!」と冷静なツッコミ。


しかしそれを聞いていた藍那は口をぽかーんと開け、桃は両手を口元に当て、二人とも顔を真っ赤にして澄香の方を見ていた。


「うん、やらないから」澄香の冷たい声が教室に響いた。


「なんならあたしが雇おうか? ヌードモデルとし・て」


ゆりえが耳元で向こうにいる二人に聞こえないように甘く囁く。


「断る」


即断即決の澄香。そのような甘い言葉には乗らないのである。


「報酬はあたしん家の靴下、お持ち帰り自由でどう?」


ゆりえが耳元でさらに囁くと、さすが即断即決の澄香。ガッチリと握手を交わす澄香とゆりえ。靴下と言う餌を目の前にぶら下げられ、甘い言葉に乗ってしまうのである。


その二人を見て当然???と頭に疑問符を浮かべる藍那と桃であった。



放課後その足でゆりえの家にお邪魔する澄香。乗るんじゃなかった!と後悔しながらも靴下は欲しいのでゆりえの部屋へ。何をされるか戦々恐々としていたが、


「タンスそっちにあるから勝手に持ってってくれていーよ」


カバンを置きながら指さすゆりえには、下心は無さそうな感じだった。


「え…モデルはいいの?」


「まあ、半分冗談みたいなもんだし。まあ、今日うちに来てくれたお礼ってことで」


伊達メガネを外し、髪をほどいたロングヘアの美少女に笑顔見つめられ、澄香は顔を赤くしながら一足だけ靴下を自分のカバンへしまい込んだ。


「どしたの?顔赤いよ?」不思議そうに澄香の顔を覗き込むゆりえに「な…なんでもない!」と、両手をブンブン振って慌てる澄香。


澄香はその場に座ると、息を整えてあらためてゆりえの部屋を見回した。この前来た時は、すっぽんぽん祭りのせいで、よく見ていなかったがゆりえの部屋は整理整頓もされていて、特に変な物も置いてあるわけでもない普通の女の子の部屋だった。(まあ、薄い本が割とたくさん置いてあるが)


足フェチ変態要素のない部屋を見て、なんでゆりえがそうなったのか少し興味が湧く澄香。ゆりえに単刀直入に聞いてみることにした。


「ねえ、ゆりえはなんで足が好きなの?」


いきなりのド直球質問に、目を丸くして驚くがすぐ元の美少女に戻り、


「ねえ、なんでフェチになるか知ってる?」


ゆりえの逆質問にうーんと考え込む澄香。


「フェチってね、抑圧されたり、その事が原因で心の傷を負ったりした時になることがあるんだって」


ゆりえのその言葉を聞き、ゆりえの心の傷を抉ってしまったのではと罪悪感が湧き上がる澄香。


「たとえばさ、学校に素足で行くとするでしょ? そこで素足なことをいじられたり、いじめられたりしたら、素足で学校にいくのが怖くなるでしょ? そうすると普段の生活でも素足だといじめられたり、変な目で見られるんじゃないかと思っちゃうわけ」


ゆりえの言葉に黙って耳を傾ける澄香。


「そうなるとどうなるかって言うと、靴下を脱ぐのが怖くなる。いつでもどこでも靴下を履いてなきゃ不安になる。つまり裸足になれない、抑圧されるってわけ。そうすると自分は裸足になれない分、他の人の裸足を見ると興奮しちゃうわけ。まあこれが足フェチになる一つの原因かもしれないね」


その言葉には謎に説得力があった。じゃあゆりえは以前どこかで誰かに裸足のことでいじめられていたのかとの思いに至る。


「ご…ごめん…あたしそんなこと知らず…ゆりえの心の傷を…」


「まあ、あたしは全然違う理由なんだけどね⭐︎」


「違うんかい!」


ずっこける澄香であった。


「あたしは中学入学と同時にこっちに引っ越してきてさ、まあ当然知り合いも友達もいないわけ。どうしようかな、友達できるかなって不安でさ。で、入学式終わった後一人寂しく歩いてたら、前に賑やかな子達がいたの。多分、小学校からの友達なんだろうね。で、そのうちの中の髪の長い子が、裸足でローファー履いてたの!」


なん…だと…!? と言う顔をする澄香。


「そしたらその子、お天気占いしようって言って、ローファーを飛ばしたんだよ。そこから出てきた裸足がめっちゃエロくって! いやあもう! 大興奮したわけよ! 生まれて初めての大興奮! あたしが足フェチになったのはその子のおかげかな?」


「こんな変態を生み出したその子に説教してやりたいわ!」澄香はワナワナしながら言う。


「でも、そのお陰でこうして澄香と仲良くなれたし、あたしよかったと思うよ?澄香は?」


横に座ったゆりえが自分の頭を澄香の肩に乗せ、上目遣いで聞いてくる。澄香は顔を赤くして、すみれから目を逸らしながら、


「ま…まあね…その点ではその子に感謝してあげてもいいかもね!」


うひひ、と嬉しそうに笑うゆりえだった。


「その子のおかげで元気をもらえて、こっちでもやってけそう! って思たから、あたしはその意味でも感謝してるの」


「で? その子とは今友達なの?」


「あの後探したんだけど、それらしい髪の長い子いなくてさ。今でも髪の長い子見ると、お? って思うことはあるねー」


「へ…へえ…そうなんだ…」


澄香は自分の髪を触りながら、そのどこの誰ともわからない髪の長い女の子に、妙な対抗心が芽生えていることに気づいた。そしてぼそり。


「髪、伸ばそっかな…」


その後何やかんやあって、結局すっぽんぽんにされて、足もツルツルピカピカにされ、ふらふらになりながら帰路につく。


「こんなことなら、もっと靴下貰っときゃよかった…」

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