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はだしまい  作者: MANAM


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第六話 百合の香り

ある日のこと。

澄香と文香がリビングでくつろいでいたのだが、文香がうつ伏せになって何かの本を見ながら澄香に疑問を投げかけて来た。


「ねえお姉ちゃん、女の子同士の恋愛ってどうなの?」


「はあ? 何なのよいきなり」


突然の疑問にそう言いながらも、


「まあ今の時代、そう言うことがあってもいいんじゃないの?」


と、真面目に答えてあげる澄香。


「ふーん。じゃあ、この本に描いてあることは間違ってないんだ」


足をパタパタさせてページを捲る文香に近付きその手元の本を覗き込む澄香。


「あんた一体何の本を読んでんのよ」


覗き込んで見てみると、文香の読んでいる本は所謂薄い本の百合物だった。

澄香は鬼の形相で咆哮する。


「没収!」


(あの顔は本気の顔だ…近づかないでおこ…)


本気になった澄香は加美家最強。そそくさと逃げ出す文香だった。



薄い本はすみれから借りた物だと聞きだし、速攻で返しに行く澄香。

初めて来る場所で少々迷ったが、斉藤という表札の家を何とか見つけ、呼び鈴を鳴らすと家の中から「はーい」と言う声が聞こえた。


そして出て来たのはすみれではなく、長い髪の澄香と同い年くらいの美少女だった。

美少女は澄香を見て目を大きくして驚いている。


「え!? なんで加美さんが家に!?」


だが澄香はその子に全く見覚えが無い。なのでマヌケ顔で聞く。



「えーと…どちら様?」


「うん、それ尋ねて来た人が聞くことじゃないよね?」


と、髪の長い美少女から鋭いツッコミが返ってきた。


その時、澄香の頭の中に斉藤と言う名前とその子の声で、頭の中に三つ編みおさげのメガネっ娘の姿が思い浮かんだ。


「斉藤って…同じクラスのあの斉藤さん!?」


驚愕する澄香。今の姿とは似ても似つかない全くの別人に見えたのだ。


「んふふ、学校では伊達メガネをかけて、目立たないようにしてるからね」


「はー‥全然わからなかったよ…」


澄香は妹の文香がすみれに借りていた本を返しに来たとの用件を伝え、ゆりえにそれを手渡した。そこでゆりえの視線が澄香の足元へと滑り落ち、スニーカーソックスを履いていることに気が付く。


「加美さん! なんで靴下履いてるの!?」


この世の終わりかと思う程の絶望の表情を浮かべるゆりえ。


「いや…外出る時は履くようにしてるよ…そんな絶望せんでも…」


頭を抱え澄香の足元へとしゃがみこみ、しかしちゃっかりとその足をまじまじとみるゆりえ。


そこへ家の中からペタペタと足音を立てて、すみれも玄関に顔を出す。


「あ! 文香ちゃんのお姉さん、いらっしゃい」


「こんにちは、すみれちゃん」


笑顔で手を振って応える澄香。

そしてすみれの視線はしゃがみ込むゆりえのその向こう、やはり澄香の足へと向けられた。


「あれ?お姉さん、なんで靴下履いてるの?」


疑問に思うすみれに、


「ねー!おかしいよね!」


すみれを見て同意するゆりえ。


(おかしかないやい! あたしは素足の伝道師でもなんでもないぞ!)


心の中でツッコミを入れる澄香。


そしてよく見ると、ゆりえもすみれも裸足だった。

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