⑧ サジ加減
「その辺りのサジ加減が難しいせいで、我々チームの面々は……と言うか、私と雪村君と雪子さんですけど、これまで幾度となく、高次元の存在から睨まれて来ました」
と伯爵は告白した。勿論、ソクラテスとイエスに対してである。他のメンバーにはもう、周知の事実だ。
「ただ、我々が掴んだ情報によると、高次元の存在、特に三次元世界に関りを持ち易い、四次元と五次元の住人たちの件なのですが……」
「どうかしたのかね?」
ソクラテスが訊く。
「どうも、彼等は"一枚岩"という訳では無いようなのです」
「と、言うと?」
「基本的に、彼等は、我々のような低次元の世界には、無関心な筈なのですよ」
「……そうなのかね?」
「どうやら彼らの一部の者が、我々の世界に関心を持ち、介入して来ているようなのです」
「ソレは、一体、どういう……?」
「つまり、魂が高次元の世界に、昇華しているにも関わらず、未だに、物理的な体験が出来る三次元の世界に、未練が有る、といったところでしょうか」
「なるほど」
「逆に、我々が、マシンなどを使用して、同時間軸内の、過去・現在・未来を自由に移動したり、別の時間軸を訪問したりする事が、それぞれ、彼ら四次元、五次元のテリトリーを荒らしている、と解釈されている節もあります」
「……神々の縄張り意識という訳か。ケツの穴の小さいような事を言う」
ソクラテスは、些か下品な言葉で例えた。
「つまり、今の説明の前者が、超能力でニンゲンをそそのかす者ルシファー、後者がニンゲンを物理的世界に閉じ込める者アフマリン、と言う訳なのね?」
雪子が話をまとめるように、そう言った。
「正にその通りです、雪子さん」
サン・ジェルマンも同意した。
「そして、悪意を持って、ニンゲンに関わって来る彼等の事を、我々は総称して、"悪魔"と呼んで来たのです」
「……悪魔なら、私も何度か、退治した経験が有ります。人々のカラダに入り込み、病に陥れる者たちでした」
とイエスが言う。すると……。
「そうです。カラダに耐性が無く、栄養不良などのせいで、元々丈夫ではない者の中に、四次元人の精神体が入り込むと、たちまち体調が悪く成るのです」
と即答する伯爵。
「事情は大体理解出来ました。それで、我々過去からの訪問者に、何を期待し、依頼するつもりですかな?」
イエス・キリストが、改めてそう言った。
「過去・現在・未来を俯瞰できるイエス先生なら、もうとっくにお気づきかと……」
「……そこは勿論、キミの口から、直接依頼の言葉を聞かせてもらうのが、筋と言うモノだろう?」
「失礼致しました。では、改めまして……ソクラテス先生、イエス先生」
「うん、申してみなさい」
「今後の我々の戦いに、チカラを貸して下さい」
「よかろう」
「いいでしょう」
二人の賢人は、同時にユニゾンで承諾の返事をした。
かくして、チーム・サン・ジェルマンは、2012年の危機に備え、より一層強固な布陣となったのである。




