⑲ 流星物体
それは9月21日の夜の事だった。
場所はイギリス各地。
オレンジとイエローに輝く謎の物体が、東から西の空へと、流星のように飛行した。人工衛星の残骸ならば、その大気圏突入は、西から東、または北から南の空へ飛行するはずである。
つまりそれは、未確認飛行物体だったのだ。
人工衛星ブラックナイトを始めとする、地球防衛人工衛星システムが、一斉に向きを変え、ただちに迎撃行動に移った。それは、爬虫類族のウアジェト女王と、その部下たちによるものだった。
新月から五日目の月はまだ細く、満月に比べれば、遥かに暗い空だった。
それに、そもそも、ロンドンの空は、いつものように曇っており、星灯かりすら、はっきりとは見えない。地上のニンゲンたちの中には、誰が自分たちを、迫り来る脅威から守ろうとしているのか、気づく者は居なかった。
その未確認飛行物体は、100体ほど在り、どれも一見、ただの隕石にに見えた。しかしそれらは、地球の近くで制動をかけたり、人工衛星に向けて、レーザー銃を発砲したりと、およそ、隕石に有るまじき行動に出た。
ブラックナイトたちも、すぐに応戦したが、少しばかり手に余る敵の数だった。そこへ、チーム・サン・ジェルマンの、5色のワーゲン・ビートル部隊が到着した。シルバーは雪子、グリーンは杉浦鷹志、レッドは由理子、イエローは村田京子、ブラックはサン・ジェルマン伯爵が操縦していた。
それぞれのビートルには、"無反動レイルガン"が一台ずつ備え付けられており、彼等は直ちに、迎撃に入った。敵の隕石型宇宙船は、確実に粉砕されて行き、やがて、かなり数を減らす事が出来た。
しかし、残った隕石たちが、怪しい動きを見せ始めた。
何と、目の前で数十個の隕石が、見る見る合体したのだ。
やがてソレは、巨大な黒い、ゴーレムのような姿になった。
「……またまた、厨二病っぽいモノに成ったわねえ」
京子が呆れて呟いた。
「成る程。彼等四次元人は、宇宙空間で活動するのに有利な、無機物のボディを、手に入れた訳ですね」
サン・ジェルマンは、一人で頷いていた。
そして、鷹志に向かって「さあ、出番ですよ」と言ったのだった。
そこで鷹志は、渋々、グリーンのビートルと一体化して、例のスカラベの姿に変身した。そして、頭部にある大きな角から、ある種のビームのようなモノを発射すると、目の前のゴーレムを一瞬で粉砕してしまったのだ。後には、黒いモヤモヤすら一つも残らなかった。
「またつまらぬモノを……いや、このセリフは、やめておきますね?」
彼は最後にそう言って、苦笑いしたのだった。




