↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「2012年のチーム・サンジェルマン」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑥)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/26

⑩ 墨田区にて

 それは2月29日の事だった。

 東京は墨田区の、隅田川からほど近い場所の上空を、土鍋を二つ合わせたような形の、茶色いUFOが飛んでいた。もちろん、光学迷彩を、透明モードにしているから、地上の人々に気づかれる心配は無い。


 ソレが飛来した目的は、本日、竣工式を迎えた、"東京スカイツリー"を見学するためだった。機上の主は、猫王子の白猫ミケーネだった。案内人は、今日も赤いウイッグにメイド服の由理子である。


「おお、ニンゲンも中々やるねえ。立派な電波塔ではないか」

「でしょ?確か、自立鉄塔としては、世界一の高さを誇るはずよ。あらゆる建造物を含めても、2位か3位にはなるはず」


「それに、美しいな。特にあの、螺旋形のラインが好みだ」

「お気に召して何よりです」

「まあ、勿論、何時も由理子が居る、名護屋テレビ塔が、私の一番のお気に入りなんだがな?」

「あらあら、ありがとう」


「美しいと言えば、アッチの方に見える、頂上に雪をかぶった山もイイな?」

「あら、お客様。お目が高い。あちらに見えますのが、富士山でございます。標高は3776m。日本で一番高い、休火山ですのよ」

 急にバスガイド口調になる由理子。


「おお、アレがそうか。火星のオリンポス山も趣があるが、コッチの方が、私の好みだな……しかし、あんな美しい山が、後10年もすると、インバウンドの影響で、あんな事になるとはなあ」

「えっ、イン……何て?」


「いやいや、タダの独り言だ。気にしないでくれたまえ」

「ふーん?」

 急に瞳孔が縦に伸びた、猫王の目を、ジト眼で見返す由理子。


「あの、ほら、あれだ。未来の事を知り過ぎるのは、とても危険な事なのだよ。映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの中で、ドクター・エメット・ブラウンも、そう言っていただろう?」

「ハイハイ。まあ、いいわ。貴方はいつも、最後にはちゃんと、私の味方になってくれるしね?」


「そうとも。何しろ由理子は、並行宇宙の至宝だ。キミは、あらゆる種族の絆を繋ぐ、可能性を秘めているからな」

「お褒めに預かり光栄です。王子様」

 半ばふざけて、ワザと丁寧にお礼を言う由理子。


「……さて、こういうランドマーク的なモノの竣工式には、陰謀めいたものが付き物と睨んで、来てはみたが。どうやら、これと言って、事件も起こりそうに無いし……そろそろ名護屋に戻ろうかな」


 話の雲行きが怪しくなり、そそくさと機体の向きを変えるミケーネであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。