表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凍結世界の無能力魔術師  作者: 馬村ありん
第五章 凍結世界の無能力魔術師
PR
70/78

69.札幌の爆弾魔

桜野ミリアの変な外人が、総司を助け出したという報告を受けた暴走族のヘッド・鷲胴。彼のもとに赤色の魔術師が向かっていることを彼はまだ知らない。

 ピピピ。信号みたいな味気のない着信音が、ミリアへと伸ばされた鷲胴の手の身動きを止めた。

「なんだ」

 パンツの後ろポケットからスマートフォンを取り出し鷲胴は応答した。

 距離が近いため、話し声が聞こえてくる。

『鷲胴さん、総司が姿を消しました』

 緊張し切った声が言った。

「現場は池沢に任せたはずだ。池沢はどうした」

『重吾にやられました。重吾が変な外人を連れて戻ってきたんですが、そいつはかなり腕が立つみたいです。総司も奪われました』

 ――外人!?

 もしかして、ブロード⁉︎

 もれ聞こえてきた会話に、ミリアは叫び出しそうになった。彼が総司を助けたのだ。


「嘘ついてんじゃねえよな。重吾は、病院送りになってもおかしくないぐらい痛めつけたんだぞ」

『ピンピンしてました』

 鷲胴は納得がいっていないのか、眉間によったしわは揺らぐことがなかった。

「その外人ってのは何者だ」

『総司の家の居候で、桜野ミリアの彼氏みたいです』

「強いのか」

『腕っぷしも強い上に、爆弾持ってるみたいです。倉庫事務棟の壁も穴だらけにされてました』

「爆弾か。怖えやつもいたもんだ。きっと連中、こっちに向かってんだろうな」

『池沢は、別の場所を教えたみたいですが、信じていないみたいでした』

「連合の連中にすすきの一帯をパトロールさせておけ。見つけ次第こっちに連れてこさせろ。もちろん生きたままでだ」

『了解しました』

 通話が途切れると、鷲胴はミリアに顔を向けた。


「ミリアちゃんはとんでもない野郎と付き合ってるんだな。完全にノーマークだった。悪いけど、そいつは全力で殺させてもらうぜ」

 鷲胴は笑顔を向けた。

 不良どもの口から語られるブロードの姿と、ミリアの知っているブロードの姿が、うまくかみ合わない。彼は、お坊ちゃんなところはあるけれど、家事を負担してくれる家庭的な人で、猫を愛でる優しい人だ。勉強熱心で恐ろしいほどの学習速度の持ち主でもある。


『僕は魔術師なんだよ』

 いつかのブロードの言葉が脳裏によみがえった。

 魔術師なら、奇跡を起こすことも不可能ではない。

「いい女はすげえ男を引き寄せるもんだ。ミリアちゃん、さらにアンタのことが気に入ったぜ。目の前でその外人を殺してやるから、そうしたら、骨の(ずい)まで俺のものにしてやるからな?」

「あんたなんかにはブロードは負けない」

 ミリアは声を張り上げた。

「たまんねえな。その気丈(きじょう)な目つき。めちゃくちゃにしたいぜ。そうかい。そうかい。期待が裏切られなきゃいいけどな」


 その時だった。不意に、部屋のガラス壁が割れた。ベランダに面した窓が、無数の破片となって鷲胴の部屋のじゅうたんの上に散らばった。ガラス壁に開いた大穴から、突風が中へと吹き込んできた。

「何だ⁉︎」

 鷲胴が驚愕の声を上げた。

「ミリア、迎えに来たぞ!」

 部屋の中に一人の男が現れた。赤色(せきしょく)の魔術師、ブロード・レッドマイアが部屋に飛び込んできた。


ガラス壁を突き破って、ブロードはミリアの目の前に姿を現した! 反撃がはじまる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ