53.ちょっと問題を抱えている
ブロードは、総司の抱えていた問題を知る。暴走族組織・亜寒帯連合から離反したことにより、その中心人物にして極道とつながりのある鷲胴豪という男とモメていたのだ……。
ノーザン・エンペラーは、亜寒帯連合なる暴走族の組織に加わっていたが、方針が合わず離脱宣言した。
「あいつらは、ガキどもにシャブを売ったり、外国の女の子に非合法の売春をさせている。そんなん許されねえんだろ。俺たちは離反することにした。そしたら、あいつら俺たちを敵視しはじめたんだ」
重吾は、コップに注いだ酒をぐいっと飲んだ。
亜寒帯連合は五百人からなる大組織だ。それが十人程度のノーザン・エンペラーによってたかって襲いかかってくる。多勢に無勢。卑怯もはなはだしいが、戦いというものは得てしてそういうものだ。
「警察は、亜寒帯連合を取りしまらないのか。暴走行為にかぎらない悪徳を彼等は重ねているのだろう?」
「もちろんそうだ。だけど、やつらには強力な後ろ盾がある。亜寒帯連合の中心にいるのが四尼我弥というグループなんだが、そのリーダー・鷲胴豪は、ヤクザの鷲胴会の組長と、実の兄弟関係にあるんだ。鷲胴会の組織力で、亜寒帯連合の悪事は巧妙に隠されている。警察も手を焼いてンんだよ」
組織力もあり、闇組織と繋がっている連中を敵に回した。確かに総司もピリピリするだろう。
「君たちは、危険な連中を敵に回してしまって命が危ないんじゃないか。警察に保護してもらうべきではないか?」
「警察? 俺たちが?」
重吾は鼻で笑った。
「そんな情けねえ真似するくらいなら、いさぎよく殺されて散ったほうがマシだよ。それが男の生き様ってもんだろう」
「それはなんとなく分かる気がする」
「分かってくれるか。飲んでくれ。俺の酒だ」
「だから酒は禁じられている」
「ちょっとぐらい」
「ちょっとならいいかな」
なんの予兆もなく扉があいた。逆立てた髪にむっつりした目つき。総司が姿を表した。
「おめえ、なに馴れ合ってんだよ、重吾。行くぞ。準備しろ」
「おう、総司。ブロードとダチになったぜ。こいついいやつだな」
「いいから準備しろ」
総司は一度ブロードに視線をくれてやったがすぐそらした。怒りに燃える目だ。きっと彼自身のズッ友の重吾とブロードが仲良くしているのが、気に食わないのだろう。彼とはとてもじゃないが良好な関係になれそうにない――サプライズ・パーティに誘える見込みもないだろう。
「どこに行くんだ」
ブロードはたずねた。ミリアが知りたがると思ったからだ。
「エンペラーのいつもの集会だよ」
重吾の肩を総司はつかんだ。
「いいから、そいつに構うな」
重吾は総司を見て、それからブロードを見て、総司の背中を追いかけて部屋を出ていった。どしどしと階段を降りる音が聞こえた。
予想通り、サプライズパーティーには総司を誘えなかった。重吾とは友達になったが、総司とは仲良くなれないまま……。




