#7
・今回は人を殺める場面や死描写、グロ描写(?)といった残酷描写が含まれております。
苦手な方はご注意ください。
・今回以降は機械によって加工された音声で話している場面がございます。
「」→肉声
『』→機械によって加工された音声
裏では黒幕が動き始めていることを全く知らない返り血に塗れている来栖と由佳。
彼らの前後には女が現れる。
後ろから歩いている音が聞こえたため、「あら?」と彼女が反応した。
「誰かいるのかしら? 前から女性が来るわ。後ろは……」
「速やかに片付けるとしよう」
前方側では彼の拳銃から銃声があがる。
上手くいかなかったのかもう一発射撃。
女の頭部から血を流して倒れたと同時に――
「きゃっ!!」
聞こえてきた悲鳴。
その悲鳴は由佳の口から発されたもの。
来栖は「なんだ!?」と後方を向く。
「いやっ! 離して!」
『黙れ!』
彼が見たのは漆黒のローブに身をまとった人物が片手で担がれ、じたばたしている彼女の姿だった。
その人物はフードを目深に被っているため、顔には仮面らしきものがほんの一瞬だけ見える。
機械によって加工された音声で、身の丈は来栖と同じか少し低いくらいなので、彼は男だと推測した。
コトン……と由佳の靴が落ちる。
来栖は彼女の足を見ると、左足のものだった。
「その女を返せ!」
『返すものか!』
その男の手には拳銃を構えており、安全装置は外れ、何時でも撃つことができる状態になっている。
由佳を左肩に持ち替え、パンッ!! と銃声をあげる。
彼の方に向かって飛んで来る銃弾。
来栖ははっと息をのみ、身体を対の方向に避ける。
このままでは由佳も自分も命はないと――
『チッ……外れた。一発だけじゃ死ななかったな……』
面白くなさそうに舌打ちする男はこう続けた。
『流石、玄人の暗殺者だな。連れの女の実力は知らないけどな』
「彼女もなかなかの玄人だがな」
『……ほーん……』
来栖は彼女の実力の高さは知っている。
由佳には顔を合わせて直接褒めたいと思っていた。
しかし、今の彼女は足を向けてじたばたしている状態なので、顔を赤くしてまで言ってもと思ったこともあり、真顔で敵に話している。
一方の由佳は彼がどのような表情で話しているのかは分からない。
もしかしたら、褒めているのではないかと頬を赤くしたが、それは一瞬だけだった。
「私を降ろしなさい!」
『俺に指図するな! 仔犬のように泣いていれば良いんだよ!』
「仔犬って……私のこと動物扱いなのね。最低だわ」
男は彼女に対して『可愛くない女だな』と冷淡に言い、目線の高さから突き落とそうとした。
由佳はこんなことされたら絶対に命はないと思ったやさき――
ふわっと誰かの腕の上に乗った感覚があり、眼から涙がこぼれ出す。
「大丈夫か?」
来栖が降ってくる彼女をお姫様抱っこで受け止めてくれた。
安心した由佳は涙をぽろぽろこぼす。
「……怖かった……」
「怖い思いをさせてすまなかった」
「……でも、嬉しかった……私を助けてくれたのだから」
「どういたしまして」
二人は恋人同士のため、いちゃいちゃしている中、男はその場から姿を消そうとしていた。
「待て!」
『なんだよ?』
「あんた、黒幕かその手下だろう?」
来栖はいちゃいちゃすることを止め、その男に問いかける。
「……黒幕も含め、全員ここに連れて来い」
『…………』
「彼の指示が聞こえていないのかしら? 早く連れて来なさい」
「俺たちが……」
「「……手当たり次第、始末する!」」
今にも嘲笑うような彼らの視線はその男に向けられた。
2026/07/06 本投稿




