㉑それぞれのランキング一位
登場人物紹介/用語解説
・ミリオンバレッツ
仮想世界で銃撃戦する大人気のVRMMO。4対4形式。
4ヶ国間の問題を平和に解決する手段として注目されている。
・シェン(15)
キルレート世界一位のスナイパー。日本と中国のハーフ。
ミリオンバレッツの傭兵として生き抜いてきた。髪を青く染めた少女。
30分の休憩が終わった。相手チームが選手の入れ替えをしたそうだ。
対戦する前に軽く全体で自己紹介をすることになった。
こういうのはチームリーダーからするものだ。
「リーダーのシェンです。ロングレンジスナイパーです。
私たちの練習相手をしてくれる皆さん、今日からよろしくお願いします。」
帽子の男が手を挙げて質問する。
「シェンさんって、あの世界ランク一位のですか・・・?」
「そうです。世界ランク一位です。」
全体がざわざわと、ざわつき始める。
「姜子さんの言ってた隠し玉ってシェンさんの事だったんですね?」と帽子の男。姜子は、
「フフフ・・・。」と不敵に笑っていた。
「サティです。ミッドレンジスナイパーです。」
「ナオミでーす。アサルトライフル使います。」
「海山文太郎です。サブマシンガン使います。よろしくお願いします。」と言うと文太郎はお辞儀した。何人かが合わせてお辞儀する。
練習用に組んだ一軍チームから全員が挨拶した。
一軍は前衛3のスナイパー1という王道の構成だった。
リーダーの男、筋肉で体の厚みがある男性は元軍人とのことだった。
先程とはスナイパーも入れ替わっている。
5試合で休憩してその時に修正点を洗い出す、ということになった。
全員が筐体部屋に行く。さぁ。殲滅戦だ。
この日の予定通り、一軍との10戦が終わった。
結果から述べると、10戦全勝だった。
ただ、相手チームは各段に強くなっていて、アールアウトが取り辛くなっていた。
前衛は五分五分での膠着が増えた。アサルトライフルを使う元軍人が強い印象を受けた。今現在、カナダの国内2位らしい。
ナオミと文太郎は「後衛を守る」という役割をこなしていたので信頼できる前衛だ。
前衛のおかげもあり、サティと私は一度も落とされなかったが、サティはたまにエネミーの前衛やスナイパーと不利な勝負をする事があった。
エネミーの質が上がっている証拠だ。
私はといえば、指揮を取るのも仕事になったので、フィールドを見ながら無線で指示出しした。双眼鏡を使う頻度も増えた。
例えば、前衛二人には「倒しに行くより前線の維持」を伝えた。
倒しに行くと「倒される確率」も増す。維持をしている間にミッドスナイパーがキルを稼ぐのが定跡だ。
ミッドスナイパーライフルは使い手が少ない。ミッドスナイパーは言うなればアサルトライフルとスナイパーライフルの中間的位置付けの銃だが、別の言い方をすれば、どっち付かずで扱うのが難しい。
ミッドスナイパーをあれだけ使いこなすサティは流石だと思った。私はと言えば、2000mでのヘッドショットを何度か決めて存在感を示せたのではないかと思う。
帽子の男と姜子が話している。帽子の男は今はこちらの練習になることを一番に優先してくれているようで、何やら真剣に話し合っていた。
大道寺事務所に戻って来た。姜子が口を開く。
「今日のデータ全部、貴方達のデバイスに送ったわよ。自分達で活用して。」
前衛二人はデバイスの数字を見ながらやいのやいの言っている。
「それと聞いて。レギュラーが決まった国からレギュラーのリストが送られてきたわ。まず中国。」
全員が姜子の次の言葉を待つ。
「先にシェンと私だけで話せる?」
「姜子さん。全員の前で大丈夫です。むしろ皆も知った方がいい。」
「・・・分かったわ。」
姜子は印刷したメールを机の上に置いた。
中国のレギュラーメンバーの名前が記されている。
皆が覗き込む。当たり前だが、中国人の名前が記されている。
「え!?」
サティが一番先に気付いた。
「・・・あ!」とナオミ。文太郎も不思議そうな顔をしている。
中国チームのリーダーの名前が、「神里」だったのだ。
再び姜子が口が開く。
「シェン、神里という名前が被るなんて通常考えられないわよね。
この中国人選手はシェンの親戚か何かなの?」
「中国ランキング一位の神里は、私の妹です。」
「「ええええ!!」」
ミリオンバレッツは各国の力を借りて運営されている。
その為、国内ランキングがある国とない国があるなど、国毎に差異が大きい。
例えば埠頭には国内ランキングが無い。
「中国一なんだから強いのは分かるのだけど、問題は、シェンより強いかどうかよ。どう、シェン?」
「私は、妹とミリオンバレッツをやっていた頃、勝てたことがありません。」
つづく
副題: -One of Million Bullets-
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