⑳圧倒する戦場
登場人物紹介/用語解説
・ミリオンバレッツ
仮想世界で銃撃戦する大人気のVRMMO。4対4形式。
・シェン(15)
キルレート世界一位のスナイパー。実名は伏せている。
家出してから3年間、ミリオンバレッツの傭兵として生き抜いてきた。
日本と中国のハーフ。髪を青く染めた少女。
・サティ(15)
本名は杉浦美鈴。ソロリーグで最強のスナイパー。
シェンと引き分ける程の腕を持つ。ミッドスナイパーにコンバートされた。
日本と中国のハーフ。体質で体全体の色素が薄い。
・大道寺姜子(不明)
シェン達の選手事務所の所長。日本人。黒髪を腰まで伸ばしている。
年齢不詳だが、シェン達には「大人の女性」と思われている。
キセルとチャイナドレスがトレードマーク。身長と等身が高い。
・ナオミ・スカーレット(16)
シェンのチームの前衛でアサルトライフル使い。赤いツンツン髪の少女。
チョーカーを付けている。豪州と日本のハーフ。
・海山文太郎(16)
シェンのチームの前衛。サブマシンガンを使う。身長190cmにしてチーム一の俊足。
埠頭生まれの日本人。黒髪を頭の後ろで束ねている。
シェンはビルの屋上に腹這いになっていた。
やはり狙撃はロングレンジが自分に合っている。
シェンはスコープの先に標的が現れるのを待っていた。
エネミー側のスナイパーを、文太郎がビルを登りながらサブマシンガンで追い立てている。
照準内にスナイパーライフルを持ったエネミーが現れた。
ワイヤーを伸ばして違うビルに飛び移ろうとしている。
ワイヤーの操作、
姿勢が固まる瞬間、
___ダキュッ___
ヘッドショット。2000m。
「スナイパー落としたよ!残り2!」
「アイアイサー!」
ナオミが敵陣を走る。アサルトライフル同士で射程ギリギリを見極めてエネミーに撃ち勝っている。
実戦で射程の押し引きができるのは天才的センスだ。
最後のエネミーは時間を稼ぐためにナオミから距離を取る。
走る。足は悪くない。
だがそこは、サティの狩場だった。
___タンッ___
エネミーが糸の切れた人形のように崩れる。
ヘッドショット。1100m。
ALL OUT (全滅)
「GAME!」
全員が現実に帰って来る。
「ふぅーーーー」と言いながらヘルメットを取る。
これで5戦全勝。その全てがオールアウトだ。
軽くブラシで髪をとかして外に出る。
姜子と帽子の男が観戦用モニターの前で話している。
男は声が上擦っている。
「あのスナイパー何者なんですか?」
「どっちのこと?」
「どちらもです・・・!」
「10戦終わったら自己紹介でもしようかしら?
あと5戦もきっちり頼むわよ。練習に来てるんだから。」
男は「アゥア・・・」のような声にならない声を出した。
実際、相手のレベルは悪くない。前衛は速い。
スナイパーも世界ランク10位以内の実力はある。
だからこそ私が常にマークする。相手は実力を全く発揮できない。
私がスナイパーを制圧すれば、前衛対前衛の戦いになる。
ナオミと文太郎は思っていた以上に強かった。完全に世界レベルだ。
常に相手の前衛を押し込んでいる。前衛だけでも7-3は有利。
そこにミッドスナイパーのサティちゃんが確実なキルを取る。
結果オールアウト。これが今日の勝ちパターンになっている。
完全な実力勝ちだ。
帽子の男がしばし沈黙の後、口を開いた。
「分かりました。10戦のことは諦めます・・・。」
「そうした方がいいわ。」
姜子はキセルを吸う。
「こちらのチームを再編させて頂けますか?メンバーを入れ替えます。」
「大丈夫ですよ。5戦で休憩入れる予定でしたし。」
30分程休憩になった。
姜子は試合映像の編集担当の人と何やら話している。
「シェンちゃん!相変わらずキレッキレだったね!」
「サティちゃん!サティちゃんの方が凄かったよ!」
ナオミが二人に抱きついて来た。
「さーすが私の妹達!」
「あー、抱きつくの無しです。
・・・でもナオミさんも強かったですね。あんなに上手いと思いませんでした。」
「ふふん、言ったろー?私が妹達を守るって。」
「後付けで言ったことにしないで下さい。」
チームメンバー4人は円を描くように置かれた椅子に着席した。
文太郎が口を開く。
「チームリーダー、誰か決めてませんでしたよね。」
「今更決めるまでも無いと思うけどね。」とナオミ。
「せーの、で指さし、しますか?」とサティ。
「「「せーのっ」」」
「ちょっと待って!私まだ決めてない!」
3人がシェンを指さした。シェンは天井を指さして固まっている。
「え!?私!?」
「シェンちゃん以外ありえないっしょ。」
「シェンさんが一番フィールドを理解してますよ。」
「シェンちゃんが一番上手いから。後衛が指揮するのも定跡だし。」
各々に言われてシェンは少し考えこむと、頷いた。
「分かった!リーダーやる!」
3人が精一杯拍手をした。
「どうしたの?拍手なんかして。」
気付くと姜子が近くに居た。文太郎が応える。
「シェンさんがチームのリーダーに決まったんです。」
「適任ね。」
と言った後、
「ところでチーム名は決まった?今すぐでなくていいけど、
世界戦では必要になるから、決めておいてね。」
と続けた。
全員が顔を見合わせる。
「チーム名・・・。」
チーム名を決めるなんて、何年も傭兵をしていたシェンには初めてのことだ。心臓がトクトクと鳴っていた。
つづく
副題: -One of Million Bullets-
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